☆★「スッキリしたよ」 ページ15
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場所を別館のカフェテラスに移して、僕は女の子と向かい合っていた。
「
「あ、僕は緑谷 出久です。どうぞよろしく……」
黒髪を揺らしながら丁寧にお辞儀をする百日紅さんにつられて、僕もお辞儀をする。
っていうか、かっちゃんが怖い。彼女じゃないとか言っていたけど、だったらなんでそんなに威嚇しているのさ。場所だって自然に百日紅さんの隣に座ってるし。
何もかもがイレギュラーなこの状況に、僕の頭はパンクしそうだ。
「緑谷さん。私とどこかで会ったことがあると仰ってましたわね」
「あ、うん。でも多分勘違いだから気にしないで」
「私、心当たりがありますわ。“八百万 百”をご存知ですか？」
「え！？八百万さん！？く、クラスメイトだけど」
「やっぱり！私のいとこです。よく似ていると言われますので、もしかしたら……と」
「ああ！！」
確かに良く似ている。雰囲気だったり、顔つきだったり。そっくりとまではいかないけれど、“どこかで会ったことが？”と錯覚してしまう程度には似ている。
「なるほど、そういうことだったんだね。スッキリしたよ」
「百はどうしてます？私、てっきり付属の高校か星麗のヒーロー科に進学するものと思ってましたので」
「すごく優秀で副委員長としてクラスをまとめてくれているよ。個性も万能だしいいヒーローになれると思う」
「まぁ、それは良かったですわ」
いとこの近状を聞いて百日紅さんは優しく笑っていた。
店員が温かい紅茶とコーラを二つ運んできた。僕との話に夢中な百日紅さんの紅茶に手を伸ばしたかっちゃんが、お砂糖を二つ投入してかき混ぜていた。え、いいの？勝手に。
何も言わない百日紅さんの前に、充分にかき混ぜられた紅茶を移動させる。
「あ、ミルクを取ってくださいな」
「あ？いつも入れねぇだろ」
「今日は入れたい気分なんです」
「あっそ」
そのやりとりを見ているだけで、僕はなんとも言えない気持ちになる。ここにいるのが居た堪れない。だってかっちゃんの雰囲気が柔らかい。
僕は思う。きっとかっちゃんは恋をしているんだ。
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０６★★「寝てんのか」→← ☆★「何ふざけたこと言ってやがる」
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年10月25日 0時
