１２☆★「まかせとけって！！」 ページ35
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──やばい。迷った。完全に迷ったよコレ。せっかく爆豪を正装させて連れ出すことに成功したのに。このままじゃパーティーのオープニングに間に合わない。
「オイ、クソ髪」
「な、なんだよ」
「本当にこの道であってんだろうなぁ？」
「もも、もちろんだぜっ、まかせとけって！！」
さっきからずっとこのやりとりである。Aちゃんがいるから渋々出席を了承した爆豪は、歩を進めるごとにイライラが増していってるようだ。冷や冷やしながら、確信のない道へと進んでいく。そして行き着いた場所は植物プラントだった。
そこで緑谷たちと合流し、このビルにヴィランが入り込んでいることを知った。
☆
セントラルタワー最上階。激しい戦いの末、眩しい光りとともに爆発が起き、ヴィランが操っていた金属が崩れていく。
「……ヴィランをやっつけた……！！」
その様子を呆然を見上げていると、誰かが声を張り上げた。それに続いて皆が勝利への歓喜に拳を挙げた。ああ、そうかヴィランを倒したんだ。
「やったな緑谷！」
オールマイトとともにヴィランに向かっていった緑谷にガッツポーズをとる。皆の無事を確認できてほっとした。
「んぁ……え、……なに？」
「オールマイトがヴァインを倒してくださいましたのよ、上鳴さん」
「これで会場にいた人質も安全に避難させられるね」
「……人質？」
ショート状態から元に戻った上鳴を気遣う八百万と耳郎の会話を耳にして振り返る。
「そっか、切島は知らないんだっけ。ヴィランがレセプション会場を占拠して、そこにいたプロヒーローも身動きが取れない状態だったんだ」
「ええ！？じゃあAちゃんも……」
「レセプション会場いるはずですわ」
まさかそんな事態になっていたとは……。俺は唖然とした。それを受けて耳郎が「あ、でも」と話を続けた。
「メリッサさんがセキュリティーを正常に戻してくれたから、会場にいるヒーローがどうにかしてくれてるはずだよ」
「ええ。拘束が解かれたからオールマイトもこちらに合流できたんでしょうし、大丈夫ですわ」
「そっか」
話を聞いて一番に思い浮かんだAちゃんが安全だと分かり、ひとまず安心した。少し離れた場所にいた爆豪にも話は聞こえていたはずだ。
「じゃあ安心だな爆豪。……爆豪？」
そう思って呼びかけたが、爆豪の姿はすでになかった。
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年10月25日 0時
