ヒロイック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ31)

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　　　「んー……こんな感じかなぁ」ページ31

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宮美麗歌(みやびれいか)。
Aの中学時代の友人。
通っていたのは女子中学だったので、当然性別は女。

中学を卒業して、とある音楽高校に入学した。
そして有名劇団へと入団を果たした。
現在は主にミュージカルで男役として活躍し、ファンも多い。

そんな彼女の実力もあって、ミュージカル『スター・ヒーロー』でショート役を演じる事になった。

＊

「ショート役おめでとう、麗歌」
「ありがとう、A」

Aの祝いの言葉に、中央で赤と白で分けられた髪を揺らして麗歌はお礼を言った。

普段はオレンジがかった黒髪を一つにまとめているのだが、今日はウィッグを被っている。
もともと背は高いが、底の厚いブーツを履いて焦凍と身長を合わせていた。
ショートになりきるために。

「衣装のウィッグ借りてきちゃった。カラコンとメイクも。どう？」
「すごく似合ってるよ」
「よかった」

演じることに情熱的に取り組む友人は、できる限り本人に近づきたいと努力しようとしていた。

『ミュージカルでショート役をすることになったんだけど、役作りに協力してほしい』

数日前に届いたメールにはそう記されていた。
話し方や仕草、雰囲気を双子の妹であるAに直接訊きたいという事だ。

「それにしても、Aとショートは従兄妹じゃなくて、双子の兄妹だったなんてねぇ」
「あはは……」

中学はエンデヴァーの姪で通していたが、高校１年生の体育祭で全部バレた。
事情があってのことで深くはつっこまれないが、「私には話してくれても良かったのに」という思いがひしひしと伝わってくる。

「じゃあ、普段どういうふうにしているか教えてもらっていい？」

麗歌は男らしさを醸し出すためにわざと大股で歩いた。
その後ろ姿は完全にショートだった。

「普段？んー……こんな感じかなぁ」

と言って、Aは麗歌の腕に絡みついた。
Aたち兄妹にとっては当たり前の行動に、麗歌は驚きの表情を見せた。

「……ショートってこんなことするの？」
「ん？普通にするよ」
「……そう」
「うん。あ、でね、焦凍はね……」

腕に絡みついたまま街を歩く。
困惑気味の麗歌に、Aから見た焦凍のことをたくさん話した。

「お、Aちゃんと轟じゃん……」

まさか上鳴が目撃していたとも知らず。
そしてそれが爆豪の勘違いを引き起こすことになるとは、知る由もない──……

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