ヒロイック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ4)

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　　　「お前、もうここに住め」ページ4

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(んぅ……)

Aは重い目蓋を開く。
目の前には愛しい恋人の寝顔があった。
昨日の活躍で疲れているのか、ぐっすりと眠っている。

眉間に皺もなく無防備なその寝顔にそっと手を伸ばす。
普段ならこれだけで目が覚めるのに、目覚める気配はなかった。
今日は本当に疲れているらしい。

頬や髪を触って楽しんでいると、壁にかかっている時計が目に入った。

(あ、やばいっ)

爆豪を起こさないようにそっとベッドを抜け出す。
用意していた着替えを身に着けてキッチンへと向かった。

＊

シチューを温め直していると、寝室から徐々に足音が近づいてきた。

「おはよう、勝己君」
「ん……」

まだ完全に覚醒していない爆豪が甘えるように背後から抱きついてくる。

「お疲れだねぇ。非番なんでしょ？まだ寝てて良いよ」
「……腹減った」
「はいはい」

リビングでニュースを見ながらシチューを食べる。
テレビの画面には、強盗が立てこもるビルに突撃するヒーローたちが映し出されていた。
昨晩の映像だ。

「最近、個性を使った犯罪が増えてきたね。気をつけないと」
「お前、もうここに住め」
「え～……このマンション、大学からもお父さんの事務所からも遠いから不便」
「──……チッ」

同棲を要求する爆豪に、Aは正直な意見を述べた。
電車の乗り継ぎが１本多くなるので面倒なのだ。

「あ、そろそろ出ないと」

Aは国立雄英大学の経営学部に通っている。

その学部は、経営においてのエキスパートから手ほどきを受けられると有名で、雄英高校以上に競争率が高かった。
通常なら３年ほど浪人の覚悟はいる学部に、Aは現役で合格した。

それは良いのだが、その学部は女子の比率が極端に低い。
つまりAのまわりは年上の男だらけ。

それが面白くない爆豪は、支度するAにちょっかいをかけて邪魔をする。

「ちょっと……、遅れちゃうんだけど」
「……車で送ったる」
「疲れてるんでしょ？」
「はン、こんくらい余裕だわ。舐めんな」
「そう？じゃあお願いしようかな」

爆豪はたまにこうやってAを大学まで送り届ける。
顔は出せないが、せめて恋人の存在をアピールするために。

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