ヒロイック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ25)

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　　　「てめーで冷やせ」ページ25

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「では、他の患者さんの治療がありますので」
「ありがとう。また今度時間が合う時にお茶しようね」
「はい。休みの日が分かったら連絡しますね」

ふわりと笑って、癒月は病院へ戻っていった。
今日も彼女は忙しい。

＊

Aは寝室に戻り、ベッドで横になっている爆豪の顔を覗き込む。

「勝己君、大丈夫？」
「……暑ぃ」

足で乱暴に布団を蹴飛ばす。
爆豪は気怠く起き上がり、着ていたＴシャツを脱いだ。

ベッドの横に落とされたそれをAが拾い上げる。
すごい汗。
漂う甘い匂いがいつもより強く感じられた。

「新しいシャツとってくるね。クーラーの温度も下げ──」

ようか……と、口にしようとしたら、手首を掴まれて引き寄せられた。
まったく予想していなかったので、汗ばんだ胸に飛び込む形となってしまった。

「あの……勝己く──ん、んむ……」

顔を上げるとキスが降ってた。
重ねられた唇も、侵入してきた舌も異常に熱い。

熱を放つ体に抱きしめられて、Aもじわりと暑さを感じはじめた。

「ん……、熱が下がるまで寝てなきゃダメだよ？」
「暑くて寝苦しいから、てめーで冷やせ」
「はい！？ちょ……――ふが」

言うなり爆豪はAを胸に閉じ込めて横になった。

熱冷まし用の冷却シートや濡れタオルを用意しようと思ったのに。これではなにもできない。
抜け出そうと抵抗するが体を覆う腕はびくともしない。

(うぐぐ……っ)

弱っていてもAごときの悪あがきには、ものともしないらしい。

「勝己君、汗かいた状態で体を冷やすと本当に風邪ひくから……」
「そんなヤワじゃねぇわ」
「えぇ～……」

口で言っても無駄だった。

「はよしろ。眠ぃ」
「……もう、しょうがないなぁ」

これ以上は無駄だと悟ったAは、望み通り冷気を発生させた。
爆豪はその冷たさを求めるように背中に手を回し、足を絡めて肌を密着させる。

首筋に顔を埋めて、冷たい肌に顔をすり寄せた。

「ふふ、髪がくすぐったい」
「うる……せぇ……」

弱々しく文句を言う爆豪はかなりレアだ。
Aは静かに見守った。

それから数秒もしないうちに眠りに落ちた。
いたずらで頬を軽くつまんでも起きない。

骨折を一瞬で直した代償は相当だ。

規則的な寝息を聞きながら、Aはその頭を撫でて額に優しく口づけた。

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