比翼連理には程遠い３【轟焦凍】 (ページ4)

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腕が治るまでは面倒を見ると宣言してしまったその翌日であった。
今日は呼び出されずにすんだと安堵したような拍子抜けしたような気持ちで共用ルームに顔を出した時、

「とと、轟君！どうしたのその腕！」

インターンで公欠していた緑谷が轟の腕を見て驚いていた。
大げさに施されたギブスが痛々しく見えるのは仕方のないことだ。

「……ちょっと授業で失敗しちまって……」

心配してくれている緑谷に轟はどこか言いにくそうに答えていた。
人を助けて怪我をしたと言えば緑谷なら「すごい！」と褒めてくれそうなのに。

(もしかして、私に気を遣ってくれてる……？)

Aが気に病まないようにと配慮して答えてくれたのだろうか。
ささやかな優しさを感じて少しは自分も優しくしてあげようと思った────が、

「リカバリーガールに治してもらえなかったの？結構重症だし、頼んだらすぐに治療しもらえると思うよ。その腕だと何をするにしても大変だろ？」

「いや、あの……緑谷、」

もっともな助言する緑谷に轟は絶望の眼差しを向けていた。
そのやり取りをAは冷ややかな目で見ていた。

「ねぇ緑谷君……」

「あ、伊奈佐さんも保健室に付き添ってくれ──」

「リカバリーガールってただの保健室の先生だよね？」

「いやいや。リカバリーガールは個性で怪我を治してくれる治癒においてのエキスパートヒーロー……はッ！！」

Aの質問に疑問なく答えた緑谷だったが、その途中で気づいてしまった。
轟がわざと(・・・)怪我を治そうとしなかったのだと。
そして、それを知ったAがとんでもなく憤慨しているということに。

「へぇそう……すぐに治してもらえたんだぁ……。なのに焦凍君は私に世話させてたの？もしかして日頃の仕返し？」

「違う」

苛立ちを隠さず詰め寄るAだったが、轟は怯え竦むことなく否定した。
さて、どんな言い訳をするのか見ものだ。
何を言われようとも許さな──……

「Aに構って欲しかったから」

「……は？」

Aの思考が一時停止する。
怪我をさせた罪悪感なんて吹っ飛んだはずだったのに。
心の奥にほっこりとした何かが芽生えた。

「A？」

「う、うるさい！キュンとなんかしてないんだからね！」

「キュンとしたのか」

「してないっつってんでしょ！ニヤニヤ笑うのをやめなさい！！」

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