比翼連理には程遠い３【轟焦凍】 (ページ16)

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０５「行くぞコラァアアッ！！」ページ16

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「行くぞコラァアアッ！！」

爆音で始まったＡ組のライブは迫力満点で、会場内を沸き立たせた。
ただバンドの歌に合わせて踊るだけと思いきや、それぞれの個性を生かした演出が次から次へと披露されていく。

「おお、ここで焦凍君の氷か」

サビのタイミングで大掛かりな演出が炸裂した。
そうかこれがサプライズかと上を見上げた。

「楽しみたい方ァ！！ハイタッチー！」

蛙吹の舌で空中を移動する麗日が真っ先にAに向かって手を伸ばす。
迷わず手のひらを合わせれば、重力なんてなくなったかのように体が浮いた。

「Aちゃん、楽しんでるー？」

「もちろん！」

すごく楽しい！と氷の上で踊るダンス隊の真似をして体を動かしていると、腕にテープのようなものが張り付き急に会場の端に引かれていった。
これも演出なのかと呑気に思っていたが、Aが引き寄せられたのは本当に端の端だった。

自分だけ暗い空間に誘導されて不安になったところで背中に軽い衝撃を受けて、その場にとどまる。

「やっほ、Aちゃん」

「瀬呂君？」

Aを引っ張っていたのは瀬呂の肘から出ていたテープだった。

「え、なんで？」

「いやだって轟がさ、Aちゃんをこっちにって言うもんだからさ」

と、Aの後ろにいる人物を見る。
まだ無重力状態のAの体を受け止めていたのは轟だった。
Aを抱えながら器用に演出のための氷を出し続けている。

「下着が見えてた」

「え゛！」

反射的にスカートを両手で押さえれば、無重力の個性で浮いていたことに気づく。
スカートの下に短パンやスパッツを履いていれば問題はなかったが、あいにく無防備な状態だった。

「それがどーしても許せなかったみたいだぜ。俺も視線のやりどころに困ったから言う通りにしたんだけど」

「〜〜〜〜！！」

Aは声を殺して羞恥に悶える。
他でもない知り合いにスカートの中身を見られて恥ずかしい以外にあるだろうか。
いやない。(反語)

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