比翼連理には程遠い２【轟焦凍】 (ページ7)

今日:14 hit、昨日:35 hit、合計:267,420 hit

◆◆ ページ7

.

その理由は授業が終わった後に知ることになる。
更衣室でジャージから制服に着替えている時に八百万が気遣わしげにAに話しかけてきた。

「Aさん、初めての見学が今のような内容で驚きましたでしょう？大丈夫でしたか？」

「え？何が？私は参加してないどころか焦凍君に目隠しで邪魔されてたから全然見れてなくて……何があったのかさえ」

「それはよかったですわ！」

「へ？」

感想を求められても何も言えないと正直に話せば、八百万は安心した表情を見せた。
そしてなぜかその隣にいた耳郎が、顔を覆ってその場にしゃがみ込んだ。

「ウチなんてもろ見ちゃったから、戦闘どころじゃなかった……」

「耳郎さん……。災難でしたわね」

「あの、何があったの？」

「個性の関係で先輩が素っ裸になっちゃったのよ。仕方がない事なのだけれど、さすがに私も動揺したわ」

「ええ！？」

着替えを終えて髪を整えている蛙吹が詳細を話す。
そう言えば……と視界を覆われる前に見た通形を思い出してAは唖然とした。
まるで変質者に出会ったかのような耳郎の悲鳴は、それが原因だったのだ。

「そんな、ことが……」

「そう。でも轟が守ったかァ。よかったよかった。はじめての見学でアレは刺激が強すぎだって」

「ねー。私たちでもアレは目を逸らしちゃうよ～」

ネクタイを整えながら言う芦戸に葉隠れが同意する。
最後に通形が女子に謝っていた意味をようやく理解できた。

「あぁそれで轟君、戦闘に参加しなかったのかぁ」

「え……？」

麗日の呟きにAは動きを止める。
いやいやまさか。
彼は「仮免を持っていないから」と相澤に言っていたではないか。

けれどもし、それがAの視界を遮るために参加を辞退していたのならば……──

(いや、そんなことはない！絶対！)

それはきっと麗日の勘違いだ。
Aは頭を大きく振って思い浮かんだ考えを否定すると、その場にいた全員がぎょっと目を見開いた。

「ちょ、Aちゃん！？どうしたん！？」

「やっぱり見ちゃった？見えちゃった？」

「な、なんでも……、大丈夫……」

だって……そこまでしてAを守るメリットが彼にあるとは思えないから。

＊ … * … ＊ … * …＊