比翼連理には程遠い２【轟焦凍】 (ページ44)

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＊ … * … ＊ … * …＊

「ダメかって……それは、えっと……」

唐突にそんなことを聞かれても困る。
Aが返答に悩んでいると、轟の表情に陰りが増していった。

「……やっぱり夜嵐がいいのか」

「え！？な、なんで夜嵐君が出てくるの！？」

「言ってたじゃねぇか。俺より優秀で風系統の個性を持ってるヤツがいたらいいとか。そいつを好きになって俺との婚約をなかったことにするとか」

「あー……」

そんなことを言っていたなぁと過去の自分を振り返る。
しかし夜嵐と会って彼の個性を知っても、その発想が全く出てこなかった。
なぜなら、

「えっとですね……夜嵐君はちょっと……いや、結構な割合で私のタイプじゃなかった……です」

「は？」

目を逸らしながら言ったAに、轟はきょとんとした。

言っては悪いが、夜嵐の顔はAのタイプからかけ離れていた。
性格的にもちょっと遠慮したい。

(どちらかっていうと熱血タイプより冷静沈着な王子様タイプの方が好みなんだよね……。そうそう、焦凍君みたい……な……あれ？)

Aは正面にいる人物を見た。
誰が評してもイケメンのカテゴリーに分類されるレベルの愁眉な顔がそこにあった。

考えてみれば、容姿的には轟はAの好みドンピシャだった。
婚約を破棄することしか頭になかったので恋愛対象のフィルター外れていたが、今ではどうだ。
轟がAを好きだと断言したので除外する必要はなくなっていた。

「……」

「……？ A？どうした？反応がないならキスするぞ」

「ちょおーっと待ったぁ！人が思考している隙に何しようとしてるのよ！」

「──チッ」

「舌打ち！？」

粗暴なクラスメイトを彷彿とさせる似合わない行動に目を見開く。
それよりも行動が大胆になっているような気がする。
表情が読めないから次に来る行動が予想できないのが厄介だ。

「とにかく。俺はお前に好きになってもらえるよう努力するから」

「……あっそ」

「なんか顔が赤いぞ？もしかして俺に」

「うるさい。呆れ疲れたのよ。もう黙ってて！」

変に期待を膨らませて顔を覗き込もうとしたので、避けるように体を反転させる。
怒ったそぶりを見せて強がっているが心臓はバクバクだった。
告白されて意識した途端にこれだとは……。

(ああもう、なんて単純なんだ私……)

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