比翼連理には程遠い２【轟焦凍】 (ページ40)

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轟に続いて入った居間には２人分の朝食が用意されていた。
テーブルの上にはいつ起きて食べてもいいようにラップされたおかずと伏せられたお茶碗。

「姉さんが用意してくれてたみたいだ」

「お姉さんは？」

「今日は小学校の運動会っつってたな。担任持ってるから行かねぇと」

「そうなんだ」

昨日のこともあったので挨拶とお礼を言っておきたかったのだが、すでに出かけていた。
父であるエンデヴァーも仕事で不在。
兄は土日は帰ってこないことが多いらしい。

この家にいるのは実質２人だけということになる。
ああ、空気が重い。
かといって他に誰かがいたとしても同じことだろう。

「そこ、座れ」

「あ、うん」

手持ち無沙汰のまま立っていると、ご飯が入った２人分のお茶碗を持った轟がキッチンから戻ってきた。
向かい合わせに用意された朝食の前に座る。
轟が「いただきます」と手を合わせて食べ始めたので、Aも相伴に預かることにした。

(おいしい……)

まずはじめに口にした出汁のきいた卵焼きの味に感銘を受ける。
よく朝食に食べるスクランブルエッグとはまた違う。
基本Aは洋食派なので和食か洋食を選べるのであったら迷わず洋食を選択する。
雄英の寮では選択制なので、一度和食を希望してみようかと考えた。

「親父さんには話をつけておいたから」

「ん？」

他のおかずに舌鼓を打っていると正面にいる轟が呟いた。
Aは口の中にあるものを飲み込んで食事から顔を上げた。

「えーっと話というのは？」

「昨日みたいなパーティーとかAの婚約者探しの件。俺がいるから必要ねぇって」

「それは……これからは品定めの目で周囲から見られる私をかばってくれているってこと？だったら余計なお世話だよ」

「違ぇ」

「いいんだよ。どうせ、遅かれ早かれこうなるんだし。なんなら嫁ぎ先を自分の眼で見定めて逆に品定めしてやればいいんだから。よりどりみどりで将来も安泰」

「A」

咎めるように轟に名前を呼ばれて唇を噛み締める。

(ああもう、なんでこういう時だけ他人の感情に鋭いかなぁ……)

いつものように空気を読まない鈍感なままでいてくれればいいのに。

轟は見破っていた。
Aが強がっていることに。

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