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「ちょっと聞いてる？」
「あ……あぁ。悪ぃ」
「もしかして焦凍君もうちのインターンに興味あった？ 頼んであげようか？ まだ間に合うよ」
「いや、それはいい」
「ふぅん。じゃあ話は終わりでいいね。勉強する時間、なくなっちゃう」
話を終わらせて教室を出ようとすればまた手を掴まれて阻止された。
「焦凍君？」
まだ何かあるの？と視線で訴える。
早く行かないといつもの席を取られてしまうという焦りから、少し急かすように見上げた。
「お前も行くのか」
「行くよ。なんのために図書館に向かってると思ってるの」
「違う。その……夜嵐のインターンの仲介に行くのかって」
「え？ ううん。関西だしさすがにそれは。それにその日は予定があるから」
「予定？」
「お父さまが一度帰ってきなさいって」
「……外に出て大丈夫なのか」
「相澤先生には許可を取ってあるし、家から迎えが来るからそこは大丈夫」
事件があったせいで心配しているんだろう、元気な顔を見せて安心してもらいなさいと言ってくれた。
先日捕まえた犯人から繋がりのある組織を割り出せるかもしれないらしい。
そのことを報告がてら轟に話すと、なにやらまた考える素振りを見せた。
「……」
「焦凍君？」
「あ、悪ぃ」
「？」
「……図書室、行くか」
「え、あ……うん」
Aは未だに轟の行動の意図を掴めないでいる。
考えても分からないので最近はスルーしている……が、もやもやは残ってしまう。
(もう少し表情に出してくれてもいいんだけどなぁ)
八百万さんならすぐに見抜けるのだろうか、と珍しく他人を引き合いに出して考えるのであった。
＊ … * … ＊ … * …＊
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作者名：瑪瑙 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2019年9月18日 22時
