比翼連理には程遠い２【轟焦凍】 (ページ30)

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第十四話ページ30

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Aは目の前にいる人物を見上げながらぱちぱちと数回瞬きをした。

「ええーと。どうしたの焦凍君」

「聞きたいことがある」

「うん、それは全然良いんだけど……なんか近くない？」

いつもどおり放課後に図書室に向かっていると、毎度のごとくついてくる轟に腕を引かれ気付けば誰もいない特別教室に移動していた。

なぜここに？と問おうとすれば、轟は急に距離を詰めてきた。
肩を掴まれて真正面から見下ろされている状態であった。

「聞きたいこと、とは」

「……」

「あのお」

なにか深刻な悩みなのだろうか。
話を促してもなかなか続きを話してはくれない。
どうしたものかと困っていると、スカートのポケットから小さな振動を感じた。

「あ、メール来たから確認したいんだけど──」

けれどポケットの中のスマホを取ろうとした手を掴まれ阻止される。
大事な話がある時に自分のメールを優先するだなんて無神経だっただろうか。

「あ、ごめ」

「そのメール、誰だ」

「え？夜嵐君だけど？」

「夜嵐？」

轟の眼光が鋭くなる。

「電話もか」

「電話？ううん。電話は従兄とだけど」

「……従兄？」

「うん、従兄」

探るような質問にまるで浮気を疑われている彼女の気分になる。
いや、まあ一応許婚ではあるんだけど。
でもつき合っているわけではないしそんなに責めるような目をしなくても……とAは心の中で言い訳をする。

「……なんで夜嵐とメールなんかしてんだよ。ていうかいつアドレスの交換を」

「この前助けてもらった時にお礼がしたいって言ったらアドレス教えてくれって」

「は？」

「なんかね、仮免講習終わった後のインターン先を探してるらしくって、イナサグループのヒーロー事務所をどこか紹介して欲しいって。ほら、彼も風の個性でしょ？」

「……」

「７つ上の従兄が事務所持ってるし、フレッシュな新人が欲しいって言いってたから仲介してたんだけど……焦凍君？」

説明しなきゃいけない流れだったので真面目に話していたのだけれど、当の轟はなんだか上の空でAの話なんて耳に入っていないようだった。
いやいや、君が聞いてきたんでしょ。

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