比翼連理には程遠い２【轟焦凍】 (ページ23)

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「Aちゃーん！」

「無事でよかったぁ！」

涙を浮かべながら芦戸と葉隠がAに抱きついた。
無事を確かめるように両側からぎゅーっとされてちょっと窮屈だ。
でもなんだか悪くない。

「ご、ごめんね心配かけて……」

「Aちゃんが謝ることないよ！」

「そうだよ！悪いのは全部あのおっさん！」

──と、耳郎がサイドキックに連行されていく男を指差した。
耳郎の意見に「うん」と全員が力強く頷く。

「っていうか、謝らなあかんのは私らの方やし……」

「ええ。そうです。私たちの不注意ですわ」

「本当にごめんなさい。轟君にも謝らなきゃだわ……」

「え？なんで焦凍君？」

蛙吹たちの言葉にAは首をかしげる。

「轟君、こうなることを心配してAちゃんの外出を止めたのよ」

「ん？」

「なのにウチらが無理矢理連れ出して、その結果こうなっちゃったから……」

「え」

「怒ってるだろうな～」

「えと、」

「お蕎麦でも買って帰る……？」

「ちょちょちょ、待って！」

Aは深刻な顔で話し合う彼女たちの会話を中断させた。
そして思い至った結果を確信に変えるために言う。

「昨日のあれって私を心配して反対してたの！？」

「え？そうですけど……他に何か理由がありますでしょうか？」

「逆にAちゃんはなんやと思っとったん？」

八百万が頬に手を当てて考えるそぶりを見せ、麗日はAに尋ねた。

「……スイーツ大好きで、自分も一緒に行ける日に変更して欲しかったのかと」

「なぜその発想になったのさ」

Aの答えを聞いて耳郎が半笑いでつっこんだ。

「いや、まさかそんな心配をしてくれてるとは思ってなくて」

「婚約者が命狙われるんだから当然でしょ」

「そ────……え？」

今、なんて言った？
Aは耳郎のと言葉を頭の中で反芻する。

“婚約者命狙われるんだから当然でしょ”

「ちょ──ちょっと待って！！」

「え、今度はなに？」

Aは耳郎に掴み掛かかる勢いで距離をつめた。
それからクワッと目を見開き、驚きと惑いが入り交じった表情に向かって勢いのままに問う。

「私と焦凍君のこと、なんで知ってるの！？」

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