比翼連理には程遠い２【轟焦凍】 (ページ2)

今日:5 hit、昨日:35 hit、合計:267,411 hit

◆◆ ページ2

.

「焦凍君、別にいいよ。分からない部分があったら、授業が終わった後に先生に直接質問に行くから」

だから構わなくていいと主張して話を終わらせる。
とっとと元の場所に戻せと視線で訴えたが、轟の机の位置はそのままAの隣から動くことはなかった。
先生が注意してくれると期待したが相澤は何も言わない。
他の教科担当の教師もスルーだった。

(いやいや、なんで！？見るからに机の並びがおかしいでしょ！)

何か一言あってもいいと思うのだが。
そこを起点に轟の机を正しい位置に戻そうとしたAの期待は大いに外れた。

(ああ、もう。なんだかなぁ……)

授業でちょっと考え込んだ時の隣からの視線が鬱陶しい。
絶対に目を合わせてやるものか。
そう心に決めてAはノートと黒板だけを見つめ続けた。

＊ … * … ＊ … * …＊

「……」

「……」

その視線は昼休みに入っても続いていた。
何かを訴えるように、Aが視線に気付いて振り向くのを待っていた。
無視。
無視だ。
気づかないフリを貫こう。

「A」

あえて無視し続けていたら、とうとう轟の方から声がかかった。

「……なに？今のところ心配してもらうことは何もないけど」

「昼飯、食いにいくぞ」

「え」

「蕎麦、奢ってくれるって約束した」

「そ、そうだけど」

「早くしねぇと食堂が混む」

「ちょ、」

手首を掴まれたかと思うと机から立ち上がるように引かれ、人が増えてきた廊下を歩かされる。
急いでいるのだろうか、ぐいぐいと引っ張る力についていくのに精一杯だった。

「ごめん、焦凍君。もう少しゆっくり歩いてもらえると助かる。あと、手……ちょっと痛い、かも」

「あ、悪ぃ。力加減が分からなかった」

轟は歩く速度を緩めて手を離してくれた。
早足で後を追っていたため少しだけ息が上がっている。
隣に移動してAに歩調を合わせた轟はもう一度「悪ぃ」と謝罪した。

.