比翼連理には程遠い２【轟焦凍】 (ページ1)

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第八話ページ1

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夏休みが終わり、始業式。
全校生徒が集まる場で、１年Ａ組の列には緑谷と爆豪の姿はなかった。
なんでも夜中に寮を抜け出して盛大に喧嘩をし、謹慎を余儀なくされたとか。

女子校でほんわかほのぼのと平和な学校生活を送っていたAには理解できなかった。

「男の子ってそういうものなの？」

「いえ、私も詳しくは……。でもあの２人は入学当時から仲がいいとは言えませんでしたわね」

「ふぅ……ん」

八百万の後ろに席を用意されたAは、窓際列の一番後ろという快適な位置で授業を受けることになった。
なので自然と八百万との会話が増え、今もこうやって空席の２人について話している。

他愛もない会話をしながら先生を待っていると、隣でごそごそと何やら動いている気配を感じとった。
怪しい動きをしている人物を見て、Aは目を細めて眉を不快に歪める。

「……焦凍君」

「なんだ」

「どうして私の隣に机を移動させてるの？」

「Aはまだこのクラスの授業に追いついてないだろ？学校にもまだ慣れてねぇし。何かあったら俺が、」

「分からないところがあったら八百万さんに聞くからいいよ」

「それじゃあ八百万に迷惑がかかるだろ」

「……」

Aは口をつぐんだ。
……確かに。
分からない部分をいちいち八百万に質問していたら彼女の授業の妨げになってしまう。

「それもそうか。焦凍君の言う通りかも。ごめんなさい八百万さん」

「いえ、私なら平気ですわ。分からない箇所があれば遠慮なく、」

「いや、八百万。こうやって俺が隣に移動して面倒を見た方が──」

快く受け入れようとする八百万に轟が食い下がる。
純粋に心配してくれているのだろうが、Aにしてみれば“どうせ授業についていけないんだろ”と馬鹿にされているように聞こえてならない。

結局、八百万が折れて「分かりましたわ」とAの授業中の面倒を轟に一任した。
２人の間で決着がついたようだが、Aは納得できていない。
というか、正直言って轟の世話になるのがイヤだった。

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