それは試験以上に難解な７ ページ29
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音をたてないように保健室の扉を開ければ、付き添っていた癒月が会釈で出迎えた。
こちらに背を向けて眠るAに近づいても起きる気配はない。
声をかけるべきか、起きるのを待つべきか。
Aの機嫌を損ねない選択を考えている時、チャイムが鳴った。
「下校時間のチャイムですね。Aさんの鞄とってきますから」
よろしくお願いしますと言って癒月は静かに保健室を出ていった。
「起きてんだろ、帰るぞ」
「……」
チャイムが鳴った時点でAが起きていることを爆豪は見抜いていた。
うつ伏せていたAは気怠そうに枕から頭を上げて体を起こす。
「……何しにきたの」
まだ機嫌は直っていないようで爆豪と目を合わせない。
「半分野郎に聞いた。てめえがそうなってる理由」
「焦凍……」
Aは口を尖らせながら、ここにはいない人物の名を恨みがましく呟いた。
「そりゃいきなりキムチを食べまくったら腹も壊すし気分も悪くなるわ」
「……」
Aが保健室にいた理由はキムチの食べすぎで気分が悪くなったからだった。
なぜ苦手なキムチを？
それは先月に自分がAに言った言葉が原因だ。
キムチを食べた後のキスは控えて欲しいと嘆願してきたが、爆豪は「慣れろ」の一言で片付けた。
本気で言ったわけではない。
Aが真に受けると思わなかったのと、そんな理由でキスを拒否されたくなかったからだ。
なのに──……
「ンでそんな無理したんだよ」
「誰のせいだと」
「悪かった」
「え？」
Aは目を見開いた。
まさか爆豪が素直に謝るとは思っていなかったらしい。
拍子抜けした表情で瞬きを繰り返した。
「……っ、だから悪かったって。そういうつもりで言ったんじゃねぇ。キムチに慣れる必要もねぇから馬鹿なことはやめろ」
「なら控えてくれる？ 私がいる時と会う前は食べるのはやめてほしい」
「…………ああ」
「うん。じゃあ許してあげる」
渋々ながらも条件を飲んだ爆豪にAはふわりと笑いかける。
まともに顔を見るのは何日ぶりだろうか。
爆豪は思わずAを引き寄せ、唇に軽く触れた。
しかし触れたのは一瞬で、驚いたAが「ちょっと……」と気まずそうに肩を押し返した。
「今の私、すんごいキムチの匂いがすると思うんだけど」
「──ハッ、ンなの気にしねえわ」
「もう……」
呆れながらもどこか嬉しそうに、Aは爆豪の首に手を回した。
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パチ麻呂(プロフ) - 続編うれしいです、作者様もどうかお身体に気をつけてください！ゆっくりでもいいのでずっと待ってます(;_;) (2020年5月8日 0時) (
レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 完結ですか？？この作品ものすごく好きだったので完結するのが悲しいです((泣)) (2020年3月5日 20時) (レス) id: 3aa825630d (このIDを非表示/違反報告)
鳳＊(プロフ) - えっ、、、イラスト美味すぎん、、、？作品内容もバリ良きだけど、イラスト書いている私からしてもこりゃ上手いわ……！ (2020年1月16日 17時) (レス) id: 63e109079e (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - お話は面白いし絵も素敵です。 (2019年10月24日 2時) (レス) id: 4b6f8d26fa (このIDを非表示/違反報告)
ツートップは神でしょ - すいません！轟さんバージョンの作品を見つけました！知らずに聞いてすいません・・・でもこのシリーズとっても大好きなのでこれからも頑張って下さい！！ (2019年5月8日 20時) (レス) id: 1be51e16a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年11月14日 22時
