ボタン ページ5
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ここはひとまず落ち着いて行動しなくては。
先ほどの二の舞になってしまう。
ボタンと髪を離す体勢を整えようと、Aと少年は人の波からはずれて端の方に移動した。
「あの、ブレザーを脱いでもらえば……」
「ボタンに髪が引っ掛かってるから無理だ」
「あ……」
肝心のボタンをどうにかしないと脱ぐに脱げない。
そんなことにすら頭が回らなくて変な発言をしてしまい、顔を赤くした。
(ああっ、すみませんっ、すみません……っ)
身動きが取れないAのかわりに、少年が絡まる髪とどうにかしようとしてくれている。
手持ち無沙汰に待つしかないAは申し訳なさでいっぱいだった。
そうしているうちに、どんどん時間が過ぎていく。
髪からボタンを外すことができず、ついに予鈴が鳴ってしまった。
「ああ、予鈴がっ、どど、どうしましょう……っ」
焦った顔で目の前を駆けていく生徒をみてパニックになる。
いっそハサミがあれば髪を切ることができたのに。
その時──
────ブチっ
「え！？」
糸が切れる音がして我に返る。
中途半端に浮いていた髪が落ちて背中に当たった。
(え？ 今の音って……)
一歩離れて少年に向き直ると、ブレザーからボタンが消えていた。
「あ……、」
「時間がねぇ。髪にボタンついたままで悪ぃが────行くぞ」
「へっ！？」
驚いて固まっていると、少年に手を引かれて昇降口へと向かっていた。
走る振動で揺れる髪からボタンの重さがわずかに伝わってくる。
昇降口付近は、メディアのせいで校門をくぐるのに時間がかかった生徒たちが、ごった返していた。
「じゃ、ここで」
「あの！ ボタンっ、どうしましょう！？」
Aの問いかけに、自分の下駄箱へ向かおうとした少年が振り返る。
「予備があるから気にすんな」
「えぇ！？」
「急がねぇと遅刻するぞ」
「は、はい！」
言われるがままに靴を履き替えて教室を目指した。
自分の席に着いて、髪に埋められたボタンを取り出そうと試みる。
すんなりとはいかなかったが、朝のショートーホームルーム中に救出することができた。
(今思えばだけど……、格好いい人だったな……)
“予備があるから気にすんな”
……つまり返さなくてもいいということだろうか？
こうしてAは、意図せずにイケメンのボタンをゲットしてしまったのである。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
