報告 ページ29
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「と、轟君？ 今、なんて……」
「俺は別に構わないって言った」
「っ！？」
思わずその顔を凝視する。
彼の表情は冗談ではなく真剣なものだった。
「本気かい？」
祖母は捻挫で腫れ上がった足をゆっくりと床に降ろした。
「俺で良ければAを手伝いたい」
轟は迷いなく頷き、Aを見上げる。
目が合ったAはどきっと心臓を跳ね上がらせた。
「右手でも、リカバリーガールの個性でも。Aが個性を使いこなしてぇって言うなら俺を利用してくれ」
Aの右手をとり、優しく……それでいて力強く握り込んだ。
その仕草と優しい眼差しに涙が出そうになる。
「あんた、知ってるのかい……Aの個性のこと」
「あぁ。知ってる」
「轟君には話してるの……」
祖母は驚きに目を見開いた。
Aの個性を知っているのは、ほんの一部の人間。
入学前、生徒には『解体』以外の個性を知らせないと強く言っていたこともあって、この事実は意外だったのだろう。
「そう……かい」
祖母は難しい顔をして何かを考える素振りを見せた。
「さっき私に報告したこととも関係あるのかい？」
「……うん」
「報告？」
Aとリカバリーガールの会話に疑問を持った轟が、気になる単語を口にした。
「あ、轟君にも報告しようと思ってたんですが……、私、お婆ちゃんの……リカバリーガールの後を継ごうと思っているんです」
Aは照れたように微笑んだ。
昨日は遠羽が席を外していたこともあり、落ち着いて会議の内容に耳を傾けることができた。
彼らは真剣に今後のことについて話し合っていた。
リカバリーガールも若くない。
オールマイトのように突然引退してしまえば、世間の不安を煽ってしまう。
必要なのは“リカバリーガール”
病院や被災地に赴いて治療を施すリカバリーガールの存在は大きかった。
家のことではなく、“リカバリーガール”を必要とする人々のことを考えての親族会議だということ初めて知った。
(だから私は……)
「医療について詳しい高校に転校して、リカバリーガールに必要な勉強をしよかと……」
「な……っ、────ッ痛ぅ」
「と、轟君！？」
轟は弾けるように椅子から立ち上がった。
しかし、うっかり捻挫した足にも力を入れてしまったのか、痛みで体が傾いた。
それをAが受け止めるように手を伸ばせば、轟は抱きつくように背中に手を回して体を預けた。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
