轟焦凍 ページ23
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轟焦凍は隣で作業を繰り返す黒髪の少女──Aの横顔を眺めていた。
仮免許の試験の前に、コスチュームを少し改良したくて訪れた工房。
そこで彼女と会った。
サポート科という情報と、熾雪の「すんごく魅力的な個性を持っているの！」という言葉で発目のような人物を想像していた。
しかし実際に会ってみると大人しい子だった。
自分と同じで髪の色が中央で半分に分かれている。
艶のある黒髪で、ぱっと見は分からないが光の加減でわずかながら違いが視認できる。
瞳の色も同じようでやはり違う。
そんなAに焦凍は不思議な気持ちを抱いていた。
(なんだろうな……、これ……)
それを確かめたくて、焦凍はAがいる工房に理由をつけては訪れていた。
Aの作業を眺めて、たまに会話して。
そうしているうちにお互いのことを話すようになった。
今日はAが会話の主導権を握っている。
自分のことや家族のことを話してくれるのは嬉しいが、その内容に驚かされた。
解体した部品を種類ごとに分けながらAは話を続けた。
「私もなんで連れ戻されたのかなって不思議に思ってたんですけど……、修善寺家にはある問題が発生していたんです」
なんでしょう？なんて可愛らしく首を傾げてクイズ形式で問いかけられた。
焦凍は首をひねらせるだけで、なかなか答えが出て来ない。
「正解は──……後継者の問題です」
まだ１分も経っていないのにAは答えを言ってしまった。
「後継者？ Aの父親は一人っ子なのか？」
答えを当てたかったわけではないので、焦凍はふと湧いて出た疑問を口にした。
「いいえ。３人兄弟の真ん中です」
「だったら問題はないんじゃないか？」
「はい、“そちら”の後継は問題ないんです」
Aは目を伏せて作業の手を止めた。
そして右の人差し指と中指を唇にあてる。
「────『治癒』の個性、女の子で持っているのは私だけなんです……」
「……っ！」
そこまで聞いて焦凍は理解した。
修善寺家はとても有名な治癒系のヒーロー一家である。
特に名前が知れ渡っているのが祖母のリカバリーガール。
修善寺家のブランドと言えば『リカバリーガール』
つまり──、
「“リカバリーガール”の後継が必要だったんです」
Aは嫌厭の表情を浮かべ、呆れと諦めの混じった声で呟いた。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
