もう一度 ページ16
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「な……、え？」
Aは轟の依頼に目を丸くした。
「やっぱりAに作ってもらいてぇ」
「で、でも先輩にちゃんとしたリストバンドを作ってもらったんじゃ……」
「壊れた」
「へ？」
壊れた。
つまり先輩が作ったサポートアイテムを壊してしまったということだろうか。
「いや、正しくはちゃんと動作しなかった」
「え……！？」
「あと、ゴテゴテと余計なもんがついてて、すごく重てぇ……」
そういって、轟は先輩に渡されたというリストバンドを見せてくれた。
「あ……」
それを見て轟の言いたいことが理解できた。
ラメが散りばめられていたり、ビーズや金属の飾りが施されたりと不必要な装飾が多い。
そういえば、「轟君を引き立てるリストバンドを作ってみせるわ！」と意気込んでいたような……。
気合いを入れる場所が違う。
「でも……私、無理です」
「昨日のことは気にしなくていい。傷だってすぐに治してくれただろ」
「そうじゃなくて、」
Aは轟の右手を……火傷を負わせてしまった腕を見る。
「怖いんです……」
Aは手のひらを上にして両手を胸の前に浮かせる。
少し汚れた作業用の手袋を見つめた。
「もし、また私が作ったサポートアイテムが使用者を傷つけたらって……」
そう思うと、何かを作り出すのが怖くなる。
デザインや設計まではできる。
すごく楽しい。
ただ、それを形にしようとすると手が震えてしまうのだ。
「こんな状態じゃ、まともに何かをつくるなんて無理です」
「──だったら」
Aの手に轟は自分の手を重ねた。
「俺が実験台になる」
「え？」
「お前にトラウマを植え付けてしまったのは俺だ。だから……」
「いえ！ あれは私の実力不足です！」
轟に責任はない。
すべては自分が招いたことだ。
「そ、それに……もう先輩に引き継いでしまいましたし……」
「そっちはちゃんと話をつけてきた」
「え？」
「断ってきた。パワーローダー先生にAの方が良いとも言ったから、問題ねぇ」
──だから、作ってくれないか？
と、優しい眼差しでAに語りかける。
「ぅ……、あ……」
そこまでしてくれた轟の頼みを無下にできない。
「A」
「は、はい……っ」
名前を呼ばれて顔を上げれば、色の違う双眸と目が合った。
「……ダメか？」
「そんなこと……ないです。私の方こそ、よろしくお願いします」
Aの返事に轟は穏やかに微笑んだ。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
