ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ7)

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　「“逆”だよね？」ページ7

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緑谷の演技はど素人そのものだったが、ヒーローショーは大いに盛り上がりを見せた。

「ほわあぁぁー！すごかった！ね、勝凍！」
「うん！デク格好良かった！！」

ショーが終わってもまだまだ熱が抜けない勝凍と火月は、抱き上げられたまま感想を言い合っていた。
あとは買い物を終えたAと癒月を待つのみだ。

「あ、いたいた。かっちゃん、轟君！」
「お」
「あ゛？」

名前を呼ばれて振り返る。
先ほどショーで子供たちのみならず大人の視線も釘付けにしていた緑谷がいた。
一応変装はしているが、近くで見るとバレバレだった。
その証拠に……、

「あ！」
「デ──」

ぱっと見ただけで気づいた子供たちが名前を呼ぼうした。
その口を慌てて塞いで阻止した。

「緑谷、もっと分かりにくく変装しろ」
「あはは。ごめんごめん。っていうか、“逆”だよね？」
「何がだ？」
「いや、あの……抱っこしてるの」

焦凍に抱っこされている勝凍、そして爆豪に抱っこされている火月を交互に見ながら緑谷は言った。

「ああ、これか。なんかいつもこうなる。」
「へ～」
「火月、勝己おじちゃま好きー」

火月は爆豪の腕の中できゃっきゃと笑い、ぴとっとくっついた。

「……なんていうか。火月ちゃん、昔のAさんを見てるみたい……」
「そうか？」
「うん」

うんざりしながらもしっかりと相手をしている爆豪を見て、笑いそうになった。
一方、焦凍に抱かれている勝凍は輝かしい瞳で目の前の緑谷を見ていた。

「デク！握手、握手してー！！」
「うん。いいよ」
「俺、はじめてこんな近くで本物のプロヒーロー見た！」
「そ──ん？え！？は、はじめて？」

勝凍の要望に応えながらも緑谷は「え、え？」と戸惑いの視線を爆豪と焦凍に送った。
焦凍は呆れたように笑う。

「どうやら身内はプロヒーローには含まれてねぇみたいだ。事務所にいる奴らも含めてな」
「なんか、贅沢だね……。いや、それで良いのかな」

プロヒーローということを感じさせないくらい、ちゃんと父親をやっているんだなぁ……なんて思いながら勝凍を抱き上げた。

「お、意外と重い」
「ひゃっほーい！」
「あ、火月も！おじちゃま降ろして！」
「──……チッ、」
「ひィ！？」

爆豪は火月を降ろした後、子供たちを奪っていった緑谷を力一杯睨みつけた。
Aと癒月が合流するまで２人は緑谷にべったりだった。

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