ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ15)

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０４◇「お泊まり？　お泊まりするの！？」ページ15

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派手に荒らされた自宅は、当然ながら生活できる状態ではなかった。
ならば実家に帰って来てはどうかと話を聞いた姉が提案してくれたので、Aは勝凍を連れて静岡の実家にしばらくお世話になることにした。

「大変だったね。ともかく無事で良かたよ〜」

ぎゅーっと抱っこしている勝凍ごと抱きしめる姉の冬美は、妹と甥っ子の無事を確認して安心した顔をしていた。

「ごめんね、お姉ちゃん」
「なに言ってんの！実家でしょ。しばらく居ればいいじゃない。お父さんもそうしなさいって」
「……ありがと」

母親と叔母の話を聞いていた勝凍はぱあっと表情を明るくさせた。

「お泊まり？お泊まりするの！？」
「そうよ〜。勝凍君はちょっとの間じぃじの家でお泊まりするんだよ〜」
「ヤッタァ！」

冬美が頭を撫でながら肯定すると、勝凍は両手を広げてくるくる回りながら喜んだ。
無邪気さに笑うこの笑顔がAにとっての救いであった。

＊＊＊

犯人特定のため、荒らされた実家は現場保存されることになった。
爆豪はAと勝凍がいるエンデヴァー邸を訪ねた。
距離があることを考えてしばらくは事務所に泊まる選択肢もあるが、Aの様子を見て放っておくわけにはいかない。
通勤の手間よりも家族が大事であるのは爆豪も同じだ。

勝手知ったる家とはまだ言えないが、何度か訪れたことのある和風の玄関を開けると、タイミングよく冬美が通りかかった。

「あ、おかえりなさい勝己君。お夕食まだでしょ？用意するからリビングで待っててね。Aたちもいるよ」
「……どもっす」

靴を脱いでリビングに向かうと勝凍を膝の上に抱えたAがテレビを見ていた。
誰かが入ってきた気配を感じたのか、勝凍が振り向いた。

「パパだ」
「え？あ、おかえりなさい」
「おかえり〜」

Aの横に座って勝凍を自分の膝に乗せた爆豪は、持っていた紙袋を「ん」と差し出した。

「何これ？」
「荷物。麗日たちが現場検証の後に必要なモンをまとめてくれたらしい。使うだろうからって。無事なモンだけだけどな」
「そうなんだ、お礼言っておかなきゃ」
「他にいるもんがあるなら新しく買え」
「うん」

普段着る服や欲しいと思っていた生活用品が入っていた。
他にもリビングに飾ってあった家族写真を見つけて、Aは優しく微笑んでいた。

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