ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ14)

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　　　「何があった！？」ページ14

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『ダイナマイト！』
「あ？またどっかクソヴィランが出たんか」
『違いますっ！ Aさんが──……』

通報を受けた警察が事務所に連絡し、その事務員から連絡を受けた爆豪は現場の後始末をサイドキックに任せて自宅マンションに向かった。
マンションの周辺には数台のパトカーが停車しており、複数の警察官が周囲の住民に事情聴取していた。

１階のロビーにある待合用のソファに腰掛けるAと、プロヒーローとして駆けつけた切島の姿を見つけて爆豪は急ぎ駆け寄った。

「何があった！？」
「あ！爆豪っ」

先に話を聞いて事情を把握している切島がAの代わりに通報の内容を伝えた。
聞けば買い物に行っている間に何者かが自宅に侵入し、家全体を荒らしていったというものだった。

「他の家は」
「連絡取れた家に関しては異常なし。外から見た感じ狙われたのは……」
「ウチだけってことか」
「……おそらく」

爆豪と切島は険しい表情で顔を見合わせ、何かを確認するように頷いた。

「A」
「……かつき、くん」

名前を呼ばれたAは顔を上げて爆豪の顔を見上げた。
目が合った瞬間に涙をこぼし、他人がいることも憚らず正面から夫に抱きついた。
こりゃあ大丈夫じゃねえなと確信を得て、頭を抱えてるように自分の胸へと押し付けた。

「悪ぃ」
「勝己君が謝ることじゃ、ない。もし──……、」
「あ？」
「もし、火月がホットケーキ食べたいって言って買い物にいかなかったら、私たち──……」

どうなっていたんだろう。

か細い声で最悪の状況を想像するAの体は大きく震えていた。
玄関を開けたら見える限りの壁や家具や天井までもが壊され引き裂かれていた状態だったのだ。
すでに犯人は去った後だったが、その時に居合わせたらと恐怖するのも無理もない。

「切島、ガキどもはどこいった」
「あっち。緑谷が相手してくれてる」

切島が指差した方向にはこんな状況にも関わらず楽しそうに話をしている子供たちと緑谷の姿があった。

「デクの必殺技、僕も真似できるんだよ！見て！ほらっ」
「うんうん。すごいね勝凍君」
「火月ね、今日はおじちゃまに“はーと”を描いてあげるの！」
「へぇ。いいね〜絶対喜んでくれるよ」

勝凍と火月は目の前に現れたプロヒーローに夢中だった。
まだ何もわからない年頃なので、下手に状況を説明して不安がらせないように緑谷は話を合わせて頷いていた。
これもまたヒーローの仕事なのだ。

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