ヒロイック・シンフォニー【Secret】 (ページ29)

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　　　「てめーで冷やせ」ページ29

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他の患者の治療があるからと、癒月は病院へ戻っていった。
Aはベッドで横になっている爆豪の顔を覗き込む。

「勝己君、大丈夫？」
「……暑ぃ」

爆豪は気怠く起き上がり、着ていたＴシャツを脱いだ。
ふわりと漂う甘い匂いがいつもより強く感じられた。

「新しいシャツとってくるね。クーラーの温度下げ──」

ようか……と、口にしようとしたら、手首を掴まれて引き寄せられた。
まったく予想していなかったので、汗ばんだ胸に飛び込む形となってしまった。

「あの……勝己く──ん、んむ……」

顔を上げるとキスが降ってた。
重ねられた唇も、侵入してきた舌も異常に熱い。

熱を放つ体に抱きしめられて、Aもじわりと暑さを感じはじめた。

「ん……、熱が下がるまで寝てなきゃダメだよ？」
「暑くて寝苦しいから、てめーで冷やせ」
「はい！？ちょ……――ん、っん」

言うなり爆豪は再び唇を塞ぎ、服を脱がしにかかった。
甘い口づけに抵抗は薄れていく。
胸を押し返していた手は、いつのまにやら爆豪にしがみつくように掴んでいた。

「ハッ、やっぱ両手の方が脱がしやすいわ」
「ちょ、」

上半身どころかスカートと靴下も取り払われて下着だけにさせられた。
無言で睨みつけるも、爆豪は気に留める様子もなくAを抱きかかえてベッドに倒れ込んだ。

「心配せんでもこんな状態でなんもしねーわ」
「その言葉、信じられないんだけど！」
「あ？だったらこのまま抱いてやってもいいんだぞ」
「う……」

こうなってしまっては仕方がないと、Aは望み通り冷気を発生させた。
爆豪はその冷たさを求めるように背中に手を回し、足を絡めて肌を密着させる。

それから数秒もしないうちに眠りに落ちた。
骨折を一瞬で直した代償は相当だ。

規則的な寝息を聞きながら、Aはその頭を撫でて額に優しく口づけた。

＊＊＊＊

(……ん？)

体をまさぐる手の感触で目が覚めた。
嫌な予感がして目を開けると、すっかり元気になった爆豪が覆い被さっていた。

「お、やっと起きたんか」
「えー……と、勝己君？何してるのかな？」
「あ？なにって、」

分かっているけど訊かずにはいられない。
そんなAに爆豪は意地の悪い笑みを浮かべる。

「言っただろ、完治したら抱き殺してやるって──……」
「待っ、ぁ……、ん……」

その物騒な言葉とは裏腹に、爆豪は優しい手つきでAに触れた。

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