ヒロイック・シンフォニー【Secret】 (ページ11)

今日:9 hit、昨日:16 hit、合計:244,708 hit

　　　「待って待って！それずるい！」ページ11

.

夕食をすませて帰宅し、爆豪はソファーに横になりながらテレビを眺めていた。
Aはそのソファーに背を預けるようにして床に座っている。

テレビに映し出されているのは父親が駆り出されていた事件現場。
Aが住むマンションの近くで、それが解決したと報じるニュースが流れている。

そしてもうひとつ──……

《またしてもプロヒーローが行方不明となりました。彼の名前は──》

キャスターが事件の速報を読み上げる。

「またこの事件だ……」

Aが呟いた。
近頃、プロヒーローの失踪の事件が続いていた。
と言ってもあまり有名な人物ではないので、名前を言われてもピンとこない。

プロヒーローに恨みを持った人物の犯行だとも言われている。
もしくは“ヒーロー”に対する挑戦状か。

「勝己君も気をつけてね」
「は？誰に言ってんだ？」
「念のためだよ」

ニュースが終わり、「さて……」と言いながらAは立ち上がった。

「事件も解決したみたいだし、私帰るね」
「あ？」
「焦凍もお腹空かせて帰ってくるだろうし、ご飯作って待ってなきゃ～」

爆豪は横になっていたソファーから身を起こす。
鞄をとりにいこうとするAの腕に手を伸ばし、自分の方へと引き寄せた。

「ぅわ……っ」

勢いよく倒れてきた体を難なく受け止め、広げた足の間に座らせる。
腰に手を回してぴったり張りつくように引き寄せ足を絡めた。

逃がさないと言わんばかりに。

首筋にキスを落とすと、Aは「勝己君」と強い口調で名前を呼んだ。

「帰るって言ってるでしょ？電車なくなっちゃう」
「あ？泊まっていけばいーだろーが」

爆豪は体勢を変えてAの体をソファーの背に押しつけた。

「明日、朝から授業なの！」
「あ、そ。じゃあ」

胸に両手をあてて体を押し返すがAの力程度では動じるはずもなく、爆豪はニヤリと笑い、耳元に唇を寄せた。

「ゴムのストックが切れるまで意識が保っていられたら帰してやる」
「えっ！？ちょ……、冗談……だよね？」

もう一度「ね？」と強く確認するAに何も言わず、胸元のボタンに手をかけた。

「待って待って！それずるい！」

Aは理解していた。
たとえ意識を保っていられても、帰れる状態ではいられないと。
いっそのこと意識を飛ばした方がマシであると。

爆豪の手は止まらない。

「──……じゃあ大人しく抱かれてろ」

.