【d!】らきすけ女、全戦全勝。 (ページ3)

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3.階段から落ちればこの通りページ3

お昼休み開始のチャイムはリング上のゴングと同じようなものだ。

運動部の男子を筆頭に、派手目な女子など多くの生徒が一斉に購買に向かうこととなる。もはやこの行事は戦争だ。

かくいう私もその1人である。
高校生になった今、母親の負担を減らすために買い弁派閥に入ることにしたのだ！

「おばちゃんやきそば！」
「俺唐揚げ丼！」
「ざるそば大盛り！」

様々なメニュー名が飛び交う中、私はそそくさと陳列棚の菓子パンを手に取り会計箱に代金を入れた。

注文するご飯は時間がかかるし食べきれない。ならば甘くて美味しいお菓子パンで十分。

そう思って楽しげに食堂の端のテーブルにつく。

？「あれ？A？」

『いただきまー……って、鬱くん！』

向かいの席に座っていたのは鬱くん。
珍しくひとりのようだ。

ut「いや〜奇遇やね、Aも1人？」

『そうだよ。友達が今日委員会なの。みんなは？』

ut「あいつらは多分屋上で食ってるわ。来るとしたらトントンくらいちゃう」

『げぇ、来なくていいよー……』

トントンは今朝怒らせたばかりなので、今はできるだけ会いたくない。また小言を言われそうだっ。

ut「あはは、ひどいなぁ？トントンいつも心配してるで。Aが、Aがって俺にずっと言ってるもん」

『トントンが過保護すぎるだけ！もう小学生じゃないんだからさー……』

ut「……ふーん？」

なぜか見定めるような目を向けてくる鬱くん。
顔のいい彼にまじまじと見られると、ドキドキしてつい目を逸らしてしまった。

ut「まっ、俺がトントンやったら同じようにするけどな？」

『え！？意外〜……』

どういう意味！？と突っ込んでくる鬱くんがちょっと不憫だった。

ut「じゃ、俺屋上ちょっと顔出してくるね〜、バイバイA」

『うん、ありがとね』

結局トントンは食堂にも来なかった。
1人生徒会室で作業でもしてるのかな。文化祭近いし仕方ないか。ちょっと差し入れでも持っていこうかな。

鬱くんと階段の踊り場で別れて、1階下の生徒会室にジュースと余った未開封の菓子パンをトントンに届けることにした。

最初の一段で無事(？)踵を滑らせふわっと身体が宙に浮いた。
もちろん鬱くんは既に屋上へと向かっているのでこちらに気付いてない。というか目の前からもう居なくなってる。

こりゃ一段下まで落下だ……と思考をめぐらせ目をつぶる。

ズダン！！と大きな音が踊り場と廊下に響く。

？「う、ぅ…………」

『っつ〜……』