ファンタジー D os (ページ10)

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O side

腕を掴まれてる翔くんは、しまった！って隠し事を親に見つかったような顔をしてて、また悲しくなる。

翔「別に…避けてなんかないよ？」

ほら、その笑顔作ったろ？

智「うそだ。また翔くん出ていこうとしてるじゃんか」

翔「たまたまだよ。電話しに行こうと思ったの」

智「いつもは楽屋でしてんじゃん」

翔「…プライベートな話だから」

智「…」

もう、そこまで言われたらどう返していいか分からない。

でも、俺には分かる。翔くんはうそついてる時すごい分かりやすいんだ。

翔「…ッ、分かったよ…。逃げないから…。離して智くん…」

ここでやっと正直な顔。

翔「話すよ。…ちゃんと話すから、そんな辛そうな顔しないで…」

重い口を開いた翔くんは「あの日から…」
そう、話し始めた。

やっぱりあそこがきっかけだったんだなーって。

翔くんは自分が少し変わってしまったようだった。

今まででは意識しなかったようなことが気になるようになって。

そして、特においらといる時が変だって。

翔「智くんといる時、胸騒ぎっていうか…、…ドキドキすんの…。…あ、あの、変な意味じゃないよ！？」

ここで俺、凄い照れちゃって、変な空気になっちゃったけど。笑

翔「だから…。智くんといるとあの時の感覚を思い出しちゃう…。…自分自身じゃない何かになってしまうようで…」

きっとそうだとは言わなかっけれど、それは
翔くんの中に流れる吸血鬼の血が目覚めようとしていて…。

最後に今にも消えそうな声で

「自分が…怖い…」

そう言った。

俺はただ…、聞いていることしかできなかった…。