死にたくないので足掻きます。６【キミガシネ】

２４６話「死者の絵」 ページ12

そこは私もさっき通って来た部屋。




......なのにこの部屋に飾られていた絵が...こんなものだったなんて...。




沢山の絵が壁一面に並ぶな中で...パッと目に入ったのはカンナとナオちゃんの絵。




茎に身体を覆われ、大きな花を咲かせて死んでいるカンナ。


腹部を締め付けられ血を流して死んでいるナオちゃん。


どっちも...ここに来る直前の犠牲者だからか...絵と言うよりは、写真を絵のように加工している物に近い。


ソ「っ......。」


シンさんの顔色も悪くなる。
何処かでピースが食い違っていたら...ここにある絵は私とシンさんだったかもしれない。


『シンさん......大丈夫...大丈夫...ですよ。』


ソ「...うん。
ボクも...Aも...ここにいる。」


カンナの死は...無駄にしない...。
もちろん...ナオちゃん達の意志だって...。


シンさんの男性にしては細い身体を抱き締める。
触れた所からはじんわりと温もりが伝わって来て、ドクドクと心地よい音も聞こえて来る。
それだけでも...私まで安心出来た。


『落ち着きましたか...？』


ソ「うん、ありがとうA。
ボク達も部屋を見回ろう。」


絵を直視したくないけれど、それでもちゃんと調べないと...。



.



.



そんな多くの絵の中に...床に突っ伏して死んでしまっている制服の女の子の絵があった。
驚いた事に...この制服には見覚えがある。


『シンさん...これって...。』


ソ「きっとこの子だ...。
ボクがテストデータで見た女の子は...この子だよ...。」


ダミーズのヒナコちゃんと同じ制服...。
でも、この子は黒髪の女の子だ...。



.



.



そして......死者の絵が多く飾られている中で唯一生きているシンさんの絵。


ソ「気持ち悪い...なんでこんな物、飾ってるんだ。」


『風景の絵は別として、絵が飾られているのは...死んでいる人。
ミドリの絵が飾られているのは日和颯が...死んでしまっているから...。
でも...シンさんは死んでないのに...。』


それにしても...このシンさんはこれ迄に見た事が無い様な満面の笑みだ。


ソ「......A、見すぎ。」


『か、観察ですよ！

......シンさんの絵が飾られているのって、やっぱりシンさんが生き残る為に“月見真”を捨てたからですかね？』


予想ではあるけれど...そう考えると納得出来るんだよね...。


ソ「自分を...殺したからか...。
こんな笑顔をするのは...月見真だしね...。」

２４７話「失われた」→←２４５話「特別な情報」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す