死にたくないので足掻きます。３【キミガシネ】

１３２話「『サラさんへ』」 ページ36

さっきのファイルは文字や記号が入り乱れていて私には全く理解出来なかったが、ソウさんはそれを理解しているみたい。
水を得た魚のように何処かウキウキとしている。


そして、最後に『サラさんへ』と書かれたファイルを見る。

［こんにちは、サラさん。私はカイです。
こんな事件に巻き込んでしまって...本当に申し訳ないです。］


文面から察するにこれはゲームが始まってから書かれた文章みたい。


［サラさん、もしアナタがコレを読んでいるのなら、お伝えしたいことがあります。
私...佐藤戒は、とある悪の組織に所属するエージェントでした。
それも、殺し屋として教育されていました。
しかし幼き日に下された暗殺指令を、私は遂行できなかった。
人を殺めることができなかったのです。
父には失望され...組織での立場は弱いものでした。］


［そんなある日、とある仕事を任命されました。
それが、あなたを影から護衛・保護する任務です。
といっても、初めは重要視されている仕事ではありませんでした。
デスゲームの開催、これが現実味を帯びて来るまでは。］


護衛・保護...もしかして、『指令８』のファイルがこの任務の事だったのかな...？


［デスゲームの目的は私にもわかりません。
ただ、これは私の印象なのですが、サラさん、アナタを中心にすべてが動いている可能性があります。
もちろん私は、サラさんがただの被害者であることを信じております。
ただ、組織はアナタを必要としている。
そして、彼らは手段を選ばない。］


［組織の名前は『ASU-NARO』優れた科学技術を多方面に持ち合わせている、裏の組織です。］


遂に諸悪の根源の名前を知る事が出来た。
『アスナロ』...これが私達を誘拐した犯人のいる組織...。


［このデスゲームは娯楽や復讐によるものでは、ありません。
組織にとって避けては通れない使命のようです。...父はそう信じていました。
父は、組織に狂わされました。もしかしたら、対峙する時が来るかもしれない。
その時は、父を、ガシューを、倒してください。

『紗良』フォルダに調査した資料をまとめました。
もし私が既に死んでいるなら、あなたがお使いください。
パスワードはあなたの母親の名前。
何かの力になれれば...と思います。
どうか、騙し合い、殺し合いの渦に呑み込まれないで。
あなただけでも生き残ってください］


ソ「......。」


カ「......。」


『......。』


ヒントがあっても...私達はサラちゃんの母親の名前なんて知る訳が無い。

１３３話「味方」→←１３１話「パソコン」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す