1 真珠、心中 ページ1
「せーのっ!」
「ゆめちゃん、入社おめでとうっ!」
無事入社試験に合格し、探偵社の一員となったゆめちゃん。
今日から僕は先輩になる。
「さ、ゆめちゃん、自己紹介して!」
ゆめちゃんは太宰さんに背中を押され、ためらいながらも一歩前に出る。
「自己紹介って?」
「自分の名前とかー、好きなものを云えば良いんだよ。」
首を傾げるゆめちゃんに、太宰さんは人差し指を立てて説明している。
「とにかくやってみよう。」
「えええ!………私は、曉(あかつき)ゆめです。」
更に背中を押す太宰さんに驚くゆめちゃん。小さな声で自分の名前を云うと、ぺこりと頭を下げて太宰さんの後ろに隠れてしまった。
「可愛いなあ、ゆめちゃん、私と一緒に心中してくれたまえ。」
「莫迦なことをこんな小さい子供に教えるなっ!」
国木田さんは太宰さんの背中を叩く。バシ、という音が響き、太宰さんは、痛いよ国木田君、と背中をさすった。
「真珠?海ですか?」
「うんうん、一緒に海に飛び込もう!」
「海の中に真珠が有るんですか?」
「楽に死ねそうだね〜。」
「真珠って触ると死ぬとか?それとも食べると死ぬんですか?」
「ええぇ、心中を食べるって聞いたことないのだけれど……。」
太宰さんは「心中」と云っているのに、ゆめちゃんは「真珠」だと勘違いしている。面白くて僕は吹き出してしまった。
「此処に居る人達は、みーんないい人なんだよ。」
僕は、ぽかんとしているゆめちゃんに近寄って云った。
「わ!?」
頭を撫でようと手を伸ばすと、殴られると思ったのか、ゆめちゃんはしゃがんでしまった。
「あああ、ごめんね、怖がらせるつもりはなかったんだ。頭を撫でようとしただけ。大丈夫、君が思って居る以上に、人間って優しいんだよ。」
僕もしゃがんで、ゆめちゃんの頭に手を置く。
少し吃驚して僕を見るゆめちゃんに、僕は声を掛け
た。
「これからは僕たちが仲間だよ。嬉しさも、悲しさも一緒に感じることが出来るんだ。もう君は一人じゃない
よ。」
※
今回は敦君でした☆
ー終わり−
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作者名:るるる様。 x他1人 | 作成日時:2023年5月7日 11時