【gttb】赤猫の君Ⅱ【ｲ建康鯖】 (ページ19)

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棘の城ページ19

gn「…ついた。らっでぃは部屋帰っといて。あんた気配濃ゆすぎるんだから扉開けた瞬間バレる。」
rd「え〜スター性が隠しきれないのつれぇ〜！」
tr「いいからはやくどっか行った」
yk「らっだばいばい。」
rd「酷くない？？？」

たらちゃんに背中をぐいぐい押されながら去っていったらっだぁさん。
扉に向き合うと、中から黒い負の魔力が滲み出ている。

gn「こりゃ…相当病んどる」
tr「気持ちは分からんでもないよ。…ぐっち、自分はたった1人のマリちゃんの近衛って事、心の支えにして頑張ってたから。」
yk「僕もマリを刺したら絶対に病んじゃうよ。絶対に胸が張り裂けそうなぐらいつらいよ。」
gn「………マリちゃん。こん中入ったら負の魔力にあてられ続けるよ。キツかったら、すぐ出てね。」

げんぴょんさんが扉を開ける。

『はい。………でも多分、大丈夫ですから。』

私の周りの魔力が炎に変わり消えていく。私は痛む傷を我慢して、凛とした姿勢でおそらく彼の魔力の具現化された物であろうサボテンや棘の生えた部屋に入って行った。

＿＿＿＿＿

暗い部屋に一際大きな植物の塊。棘を避けた場所に手を当てると、綺麗に燃え尽き、中から出て来たのはうずくまったままのぐちつぼさん。眼鏡を外し、私のプレゼントした帽子を手に持ち握りしめたままの彼を優しくハグする。彼の肩が肩がびくりと揺れる。…昔より随分髪が伸び、ウルフヘアになった彼のかためな髪をゆっくりと撫でる。

『ぐちつぼさん。』
gt「…ッ」

身を固めてしまった彼をほぐすように背中をさする。

『私は生きていますよ。心臓の音、ちゃんと聞こえるでしょう？』

私は彼の頭を抱いて落ち着かせるように、背中を撫でる。
すると、私の背中に手が周り、ぐちつぼさんも私の背中を強く抱きしめる。…彼は泣いてしまっているようだ。服にじわりと濡れた感覚を覚える。

『ずっと、会いたかったです。
……貴方とまた歌いたい、貴方とまた、お散歩して、ゆっくりお日様の下でお話したいです。

私のお願い、聞いてくださりますか？』

gt「な、んで………なんで俺の事、責めないんだよ、」

涙混じりの声が聞こえる。
…そんな事は簡単だ。

『だって、私にとって、とっても嬉しかったんです。貴方に、人を殺そうとしてまで守りたい仲間やお友達が出来て、しっかり自分の判断で行動して。
私なんて居なくても、笑って生きていける事がわかったから。』

gt「は、」

『……』

私は彼の頭をゆっくりと撫で続けた。