【110】アクセルを踏むのは、赤信号のあとで ページ10
.
櫻井「なに？(笑)」
.
.
収録は滞りなく終わって、わたしはいつものように彼を後部座席に乗せて、車を走らせた。
.
小津『櫻井はさ、俺の事どのマネージャーよりも嫌ってるから……他のメンバーには関わんなって言って、俺を傍に置いてたんだ』
.
小津さんのその言葉が、頭から離れなくて。
ルームミラーで後ろを確認する度に、チラチラと彼を見てしまう。
.
A「いえ？」
櫻井「そんだけ見といて、いいえって事はないでしょ？(笑)」
.
「視線には敏感なんだよねー、仕事柄」というと、彼は手元のタブレットに視線を落としたままそう言った。
.
A(聞いてみようかな……)
.
聞いた所で、正直には答えなさそうだけれど……そう思いながら、わたしは直球を投げてみた。
.
A「小津さんの事……嫌いなんですか？」
櫻井「うん」
A「苦手、なんですね」
櫻井「いや？ ただ嫌いなだけ」
A「……。」
.
びっくりするくらいアッサリと言われ、想像していた答えと違って驚いた。
(普通そこ、社会人として「まさか！」とか言う所じゃないの！？)
.
.
櫻井「小津さんが結婚するの辞めたのって、五宮さんの事なんでしょ？」
.
.
赤信号で止まると。
それを待っていたみたいに彼はそう言って。
それから、顔を上げた。
.
櫻井「聞いた？俺らの為に結婚辞めて、今度は俺らの為に結婚すんだって話」
A「聞いてます」
櫻井「自己満足以外の何でもないよね。いい迷惑」
A「小津さんは、小津さんなりに……」
櫻井「なに？そういう所が好き？(笑)」
A「……尊敬は、しています」
櫻井「ふーん」
.
前を見ていたのに、信号が目に入っていなくて。
いつの間にか信号は青に変わっていて、わたしは後ろの車にクラクションを鳴らされてあわててアクセルを踏んだ。
.
A「自己満足っていうけど、櫻井さんだってそうじゃないですか」
櫻井「俺？」
A「だってそうでしょ？ 小津さんの事が嫌いだから、他のメンバーに小津さんを付けさせない様にするなんて」
櫻井「似た者同士って？(笑)」
.
嫌いな人と一括りにされて怒るのかと思ったけれど、わたしの考えとは裏腹に彼は楽しそうに笑った。
─────そして。
.
.
櫻井「俺とあの人が似てるんなら……五宮さん、俺の事好きになるかもね？」
.
.
ニヤリと笑って、そう言った。
.
.
【111】思い出すのは、《君がいいんだ》のあとで→←【109】告白は、非難のあとで
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 482人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2014年1月31日 5時
