【107】答えるのは、耳を疑ったあとで ページ7
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A「まだその話してるんですか？」
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その話─────というのは、小津さんの「二宮が怪しい」という話だ。
あれから暫くして会った、５人での収録の時。
小津さんはまだ、スタジオのすみっこでわたしにそんな話をしていた。
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小津「うーん……」
A「そんな事言ったら、５人の中で相葉くんだけ特別って事ですよ？」
小津「…………相葉だけ？」
A「相葉くんだけ、事務所が彼女のこと認めてるんでしょう？」
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相葉くんは、事務所に入る時から「笑顔にしたい好きな人がいる」と言っていたとかで、社長からオッケーの出ている彼女がいる。
(今はもっぱら喧嘩中みたいだけど)
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A「グループ内でそういう……差別っていうんですか？区別っていうんですか？ そういうのって……わたしちょっと理解できないです」
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だって、５人が５人。
全員真摯に仕事に向き合っているのだ。
彼らのイメージを崩さない様に、彼らのファンの為に、彼女たちの笑顔の為に。
そんな彼らなんだから、プライベートでのぞむ事はそんなに多くはないんだから……だから、事務所だって、わたしたちだって、彼らの事を応援してやればいいと、わたしは思う。
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小津「別に女がいたらダメって訳じゃないんだよ」
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「それでいうなら大野だっているし」、と言われてわたしは目を丸くした。
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A「お、大野くんが？！」
小津「そうだよ？ あ、知らなかった？」
A「知りませんよ！」
小津「あいつも……付き合い始めたと思ったら『結婚したい』って言い出した事があって」
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「止めるの苦労したんだよなぁ……」というと─────小津さんは小さく笑った。
…………そして。
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小津「…………大野が結婚なんて言い出さなかったら、俺は五宮と、今頃結婚してたのにな」
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思わせぶりな言い方に、耳を疑う。
わたしは自分の事が何故出てきたのかも、意味が解らずただただ、小津さんを見ていた。
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小津「『俺も辞めるから、お前も辞めろ』って言って止めたんだよ」
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彼ら５人をこの華やかで汚い世界で生きて行く為に。
その為に我慢をするのは、彼らだけじゃなくって─────みんなで、そうするから……と。
そんな事を小津さんはサラリと言って。
わたしは。
わたしは─────
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A「そう、だったんですか……」
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そう答えるのが、やっとだった。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2014年1月31日 5時
