【105】強請るのは、驚かせたあとで ページ5
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A「……仕事、の、話……っです！」
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合間合間にそう答えたけれど、さして興味なさそうに「ふーん」と、彼は言った。
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櫻井「仕事って？」
A「………………。」
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二宮さんに女がいそうだ、とか……
出来れば相葉くんに、いま喧嘩中の彼女とこのまま別れて貰って仕事に集中して欲しい、とか…………
(でも今の彼女と暮す様になってから遅刻がなくなったからなぁ、とか？)
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A(言えないな……)
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会社として、彼らをマネジメントする立場として─────彼らを商品として。
そんな風に思っているなんて、きっと彼は知っている。
知っているだろうけど、そういう話をしているという事を耳に入れる事は憚られた。
だから。
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A「仕事は仕事です。 あなたに言えない事です」
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と、そう言うと。
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A(あ)
A(しまった)
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明らかに彼は気分を害したらしく。
「あ、そ」というと─────そのまま深くまた、口付た。
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A「やっ、ん！ ん─────っ……」
櫻井「♪」
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絡め取られた舌が、強めに噛まれて。
このまま食いちぎられるんじゃないか、と一瞬背中がゾクリと粟立つ。
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櫻井「ほら」
A「やめ……っ」
櫻井「呼んでいいよっつってんのに」
A「櫻井、さっ……」
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当の本人は、機嫌が悪い時にみせるゴキゲンで、そんな焦っているわたしをみて、楽しんでいる様だ。
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A(コンニャロウ！)
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ニヤニヤする彼を一泡吹かせたくて、わたしは。
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A「いいんですね？」
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きっと挑戦的な目でそういうと、彼は「どうぞ？」と笑って。
それを受けてわたしは─────
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A「翔くん……♥」
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と。
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櫻井「へ……？」
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間の抜けた声を出した彼を、笑いそうになるのを堪えながら彼の首に腕を絡めて引き寄せる。
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A「小津さん、小津 ショウって言うんです。ご存じありませんでした？」
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小首傾げていうと彼は一瞬考えて。
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櫻井「あー…正しい、て書くんだっけ？ 聞いたことあった気がする……」
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と。
マズそうな顔をして。
わたしはそれをみて満足気に「ショウくん、キスして？」と─────強請ってみせた。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2014年1月31日 5時
