【123】聞こえない振りは、認識したあとで ページ23
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A「何処で知り合ったんですか？」
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尋ねるわたしに子狸は「なにそれ、事務所用のリサーチ？」と皮肉を言った。
でも、そうじゃない。
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A「単なる野次馬です」
二宮「ノーコメント！」
櫻井「あのねぇ……あれいつ頃だったかなー？ ニノが……」
二宮「ちょ、嘘でしょ？！ 翔ちゃん！！」
櫻井「(笑)」
A「えー！知りたい！知りたい！！(((*≧艸≦)ﾌﾟﾌﾟ…ｯ」
二宮「絶対言わねぇわ！！」
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普段、しれーっとした子狸が慌てるのは正直……楽しい(笑)
子狸の家へと走らせる車の中で、わたしと彼はそんな彼をからかいながら笑った。
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櫻井「え〜〜〜〜…あ、じゃあさ！ キッカケは？」
二宮「はい？」
櫻井「キッカケくらい教えてくれてもいいでしょ？」
二宮「きっかけ、ねぇ……」
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聞けば。
ただ見ず知らずだった子狸を、「二宮 和也」とは知らずに行く所がないのだと思って家に置いていたのだという彼女。
その彼女が最初は犬でも拾ったみたいに家に置いていたのだと言う。
(犬じゃなくて子狸の間違いじゃないの？(((*≧艸≦)ﾌﾟﾌﾟ…ｯ)
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櫻井「それが『あー、わたし二宮くんの事が好きだなー』って、そう思ったキッカケっつーの？ 恋愛に発展した、そのキッカケって何だった訳？」
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子狸が両手を組んで、考える。
そうして。
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二宮「犬じゃなくて『あの子』って」
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そうして、ポツリと。
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二宮「俺の事─────『あの子』って呼んでんな……って、ある日気付いたんだって」
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わたしたちの追及に諦めて。
「なーぁんて言ってたかなぁ」なんて言いながら、そう、口にした。
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二宮「最初はさ？まぁ犬みたいなモンだった訳だよ。拾ってきた訳だからさ。 それが、ふと気付くと一丁前に『あの子』とか『あの人』とか……まぁ、人間扱いっつーか……ワタシの事をね？ 一人の男なんだって、気付いたんだってさ」
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「そっからは簡単だったみたいよ」、と他人事みたいに子狸はそう言って。
「へー」と相槌を打つ彼の。
二人の前で運転に集中して聞こえてない振りをしながらわたしは。
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A(あれ？)
A(あれれ？？)
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わたしが彼を。
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A(ウソ……)
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櫻井 翔の事を、「タヌキ」じゃなくて「彼」と。
一人の人間として。
男性として認識するようになっていた事を、初めて知った。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2014年1月31日 5時
