【114】愕然とするのは、整理したあとで ページ14
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A(ちょっと)
A(ちょっと待って！待って！！！！)
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違うでしょ、そうじゃないでしょ？！……って、そう言いたいのに。
肺に入り込んだ煙の小さな小さな粒子が邪魔をして、言葉にならない。
ムセているわたしを二人は照れ隠しなんだか誤魔化しているんだかと思っているのか、笑いながら喫煙室へ入っていって、「ちょーだい」と、大野くんが相葉くんから煙草と火を貰っていた。
スポンサーの社内なんて、スタジオやテレビ局とは違って一般の人ばかりで、外でロケしているのと変わらない。
そんな中、二人だけにしておくことはできなくて、仕方なくわたしは喫煙室と接した場所にあるドリンクコーナーのテーブルに腰かけて、呼吸を整えた。
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A「んﾞ！んんﾞ……っ！！」
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オッサンみたいだな。
そう思ったけれど、肺に入り込んだ煙の小さな小さな粒子がとれなくて、燻っている様な気がして─────取れそうにないソレを、何とか吐き出そうとして、もう止まった咳を無理やりに咳き込んだ。
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A(ったく、何を言い出すのかと思えば……)
A(……っていうか、相葉くんが言ってたんじゃないの？)
A(こんなの仕事だって……)
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そうだ。
相葉くんが言ったんじゃないの。
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相葉『なんていうか、好きになっちゃうんだよね。みんな』
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そう思ったけれど、記憶の中の相葉くんが言った言葉は「仕事」とは一言も言っていなくて─────わたしは「あれ？」と思い直す。
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A(そうだ)
A(仕事をしたいのに─────好きになっちゃうから)
A(だから、仕事がうまく回らないって)
A(そう言ってたんだっけ……)
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ん？
ちょっと待てよ……
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A(どこでわたし)
A(どこで、勘違いした……？)
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シースルーになった喫煙所では、相葉くんと大野くんが楽しそうに何か話をしている。
そのふたりをぼんやり見ながら、わたしは考える。
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櫻井『仕事仕事。仕事だって』
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そうだ。
仕事だって言ったのは、彼だ。
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A(や、違うな……)
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そもそもは、わたしが─────あの「仕事だから彼の世話をしている」と言ったのが始まりだったか。
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A(あれ？)
A(あれれ……？？)
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整理して突き付けられた事実に、わたしは愕然とした。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2014年1月31日 5時
