【113】むせるのは、無理があるあとで ページ13
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A「すき、って……」
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絶句するわたしだったけれど、相葉くんにはそれ程深い意味はなかったみたいで。
メンバーを大切にしている彼らだからこそ、同じメンバーを「キライ」と言われていたのがトゲみたいに引っ掛かっていて─────今はそのトゲが取れたのを、安堵しているだけなのかも知れない。
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大野「あ、そゆことなの？(´･∀･`)」
A「違います！」
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「なんだ、二人やっぱ出来上がってんのか」と笑う大野くんに、わたしは慌ててそれを否定した。
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大野「でもチュウしてたじゃん」
A「ちょ…！」
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声のトーンも落とさずに、サラリとそんな事を言うので。
そこだけ聞いたら「誰を相手に」なのかなんてわからないのに、わたしは周囲に人がいないかキョロキョロと見回した。
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相葉「大丈夫、誰もいないよ(笑)」
A「だから……」
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笑う相葉くんにわたしはホッとし、それから子供に言い聞かせるようにゆっくりと、念を押して。
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A「だから、あれは仕事ですって」
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そう、言った。
彼らは顔を見合わせると、プッと吹きだした。
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大野「いやいやいや(笑)」
相葉「それは無理があるって、五宮さん〜〜〜〜〜(笑)」
A「無理って言われても、本当に……」
相葉「だって仕事でそんなのするなんて、風俗の人か演技する人だけでしょ(笑)」
A「……は？」
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当たり前の様にそんな事を言われて。
言われて、わたしは当たり前の事なのに、驚いた。
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大野「俺も仕事でチュウした事あるけどさ。……相手、男だったけど(笑)」
相葉「俺もあるよ！ 俺でも、される方が多いんだよね。何故か」
大野「ま、仕事だからするけど……仕事以外ですんのなんて、もうそれ決まってる相手しかないでしょ(笑)」
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ニヤニヤと、口元を緩めた大野くんが、いつもは言葉少な目なのに、今日は饒舌だ。
「決まってる相手」。
大野くんで言うなら、結婚をしたいと事務所に申し出た彼女で……相葉くんで言うなら、今日この会社で働いているという、同棲(同居？)中の彼女だ。
でも。
わたしと、彼は。
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A(決まった相手……)
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そんな甘やかな関係とは、程遠い─────もっとビジネスライクな関係だ。
なのに。
仕事じゃない訳ないのに。
なのに、可愛い二人が落とした爆弾の煙……ではなくて、風に乗って流れてきた煙草の煙を吸い込んで、わたしは「ゲホッ！」とむせた。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2014年1月31日 5時
