【112】好きになるだけなのは、嫌いのあとで ページ12
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大野「あれ？ トイレ行くんじゃなかったの？」
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トイレを素通りして、喫煙所へ向かおうとしていたわたしたちの背中に声がかけられ、振り向くとそこに大野くんが立っていた。
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相葉「トイレもいく！……けど、ちょっと一服してから〜♪」
大野「あ、いいね。俺もいこ」
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ふにゃん、と笑うと大野くんは足を止めたわたし達に追いつき、一緒に歩き出した。
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A(大野くんが、結婚かぁ……)
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５人の中じゃ一番縁遠そうなのに。
なのに……わたしが小津さんと結婚を考えていたあの頃。
あの頃、事務所に「結婚したい」と申し出たのが彼だったなんて。
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A(人って見かけによらないな……)
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そう言えば、彼だってそうだ。
一見５人の中で一番しっかりしてそうなのに、彼なんて生活力ゼロだ。
(ゼロなのは出演番組だけで充分なのに)
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A(あんな『なんでもできまーす』みたいな顔してんのに)
A(洗濯したら白も黒もまとめてほおるし、ネットにはいれないし)
A(料理っていったら麦茶か蕎麦くらいだもんね)
A(部屋だってきったないし)
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逆にあの人、よくこれまであんなのでやってこれたな……なんて思っていると、「ふふ」と笑い声が聞こえてわたしは顔を上げた。
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A「？」
大野「んにゃ、別に(笑)」
A「何です？ 気になります。 ……あ、こちらです」
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大野くんが、相葉くんと顔を見合わせて笑う。
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大野「いやぁ……随分幸せそうなカオしてんな〜って思って(笑)」
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しあわせ？
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A「そんな顔、してました？ わたし」
相葉「してたしてた(笑)」
大野「仕事、楽しい？」
A「え？ あ、えぇ。 色々驚く事もありますけど……」
大野「そりゃそっか、普通のOLとはちょっと違うもんね」
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大野くんが「あ、ここか」と言って喫煙所の入口に手をかけた。
周囲がガラスになっているその部屋には、丁度いい時間だったのか、喫煙所に人はいない。
そんな中、「ホラね」と相葉くんが笑った。
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大野「何が？」
相葉「だからーぁ……」
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わたしの心の声を代弁してくれた大野くん。
その大野くんをスルーして相葉くんは「五宮さん、翔ちゃんの事嫌いって言ってたでしょ？」と前置きをすると。
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相葉「ね？あとは好きになるだけだったでしょ♪」
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……と。
ヘラっと笑って、そう言った。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2014年1月31日 5時
