【102】考えるのは、思い出したあとで ページ2
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A(こんな)
A(こんな、漫画みたいな話ってあるんだな……)
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そう思いながら、社用車でそのまま直帰する。
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A(彼氏作っちゃいけないアイドルの女の子が、マネージャと……みたいな)
A(そんな漫画みたいな話って、ほんとにあるんだな……)
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そう思いながら、ぼんやりと思い出す。
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櫻井『俺の事、嫌いなトコ(笑)』
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うん……あれは、理にかなってる。
自分の事を好きな人にするには、なかなか酷い仕打ちだ。
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A(そもそも自分の事が嫌いな相手だから)
A(安心いてデキるって訳か)
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アイドルも大変だなーと思いながら。
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A(こりゃこの仕事を辞める時は)
A(同性のマネージャーにつく時か、わたしに彼氏が出来た時だな)
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なんて、考える。
まぁ……実際には、うちの事務所が抱えるタレントって男ばっかりだから……わたしが仕事を辞める時は、わたしに彼氏が出来た時なんだろうけど。
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A(そうか)
A(彼氏がいなかったから、食いっぱぐれなかったって事か……)
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けしてこの状況が普通の事だとは思っていない。
この─────普通とはちょっと感覚のズレている芸能界でも、こんなケースってそうそうある事じゃないと解っている。
だけど。
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彼らは─────彼は、特別だ。
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広い芸能界の中でもトップクラスの、ほんの一握りの、選ばれた人間だ。
多少どころか、どんな我儘だって許される、そんな人間だ。
けれどその我儘だって……彼らのファンである、女の子たちに夢を与えるその為に。
カメラが回っていない所でも彼女たちを幻滅させない様な、そんな立ち居振る舞いをする為の、捌け口なのだ。
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A(プロフェッショナルだなぁ)
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プライベートだって切り売りする彼らは。
いつどの角度からプライベートを、切り取られても問題ないような生活をしている。
いわば、カメラが回っていない間だって仕事をしているようなもので、彼が本当に休めるのは─────あの家に帰ってきた、一日のほんの数時間の事なんだろう。
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A(仕事、だ)
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そんな彼らを。
彼をサポートするのが─────わたしの、仕事だ。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2014年1月31日 5時
