【94】甘い匂いは、意味不明な謝罪のあとで ページ44
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小津「櫻井、ちょっと」
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収録が終わって。
ゲストを見送った後、スタッフやスタジオに入っていたお客さんに５人は頭を下げて、控室へと捌けて行くその途中。
小津さんが彼を呼びとめた。
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櫻井「うわっ、びっくりした……何？」
小津「今日の事だけど……五宮がしたのは…………」
櫻井「わーかってるって。他意はなくて仕事の為って言いたいんでしょ？」
小津「あ…あぁ……」
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小津さんは、彼が普段と変わらない様に演じているのか。
それとも、本当に納得しているのか─────解りかねている様だった。
だけど……
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A(…………普通、でしょ？)
A(ていうか、寧ろご機嫌じゃない？この人……)
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そう思いながらも……
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小津「う、ん……そうなんだけど。五宮も気になってるみたいだから。な？」
櫻井「…………ふーん？」
A「…………勝手して、失礼しました……」
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小津さんに促される様にわたしは不本意だったけれど、頭を下げた。
それを見て─────彼が、小さく笑う。
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櫻井「解った……っつーか、もういいから。俺も助かったし」
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なんだ。
なんだなんだ、このコント！！
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小津「まぁ……いや、うん。櫻井は解ってくれるとは思ってるんだけど、やっぱりほら……あんまりいい気がする事でもないから」
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小津さんはようやくホッとした様子で。
「まあ、こんな事ないように頼むわ」と言う彼に、「申し訳ない、本当に。以後気を付けるから」と小津さんも頭は下げなかったけれど謝罪をした。
腑に落ちない事もあるけれど……これでこの話は終わり。
─────…そう思ったその時。
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◇「やーだー、まるで奥さんみたいですネ★」
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そんな声がして。
驚いてわたし達が声の方を見ると、ここにはいる筈のない、他局の女子アナが。
わたしがこの仕事に就く事になった一番の原因─────他局の肉食系女子だというあの女子アナが、いた。
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櫻井「お……っどろいたな……」
◇「局合同CMの撮影で来てたんですけど……嵐さんが収録中って聞いたので。ご挨拶に伺っちゃいました」
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スッと。
わたしや小津さんの事なんて、見えていないみたいに彼女は櫻井さんの横に立つと。
甘い甘い匂いをさせて、そう、笑った。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2013年11月29日 2時
