【87】おねだりは、タイを緩めたあとで ページ37
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櫻井「待ってました♪」
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そう言うと。
彼は─────櫻井 翔は。
ネクタイの結び目に指をひっかけると、首を左右に軽く２、３度振って─────グイ、と強引に緩めた。
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A(あ……)
A(………………また、だ)
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甘く締め付ける様な、胸の痛みがわたしを襲う。
さっきの彼らじゃないけれど、「こんな時に」……と思うけれど、その締め付ける様な痛みが全身を包むまで動けない。
そうして。
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櫻井「─────貸して？」
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シュルリ、と首からネクタイを彼は抜き取った。
思わず見惚れる様なその動きに、一瞬動きが遅れそうになったけれど─────そんな事なかった振りをして、わたしは「どうぞ」と差し出そうとした。
…………んだけれど。
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相葉「それ、五宮さんが持ってきたの？」
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途中でかけられた声に、わたしの顔はそちらを向いた。
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相葉「五宮さんが、翔ちゃん家から持ってきたの？」
A「…………？ そう、ですけど……」
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さっきの小津さんと一緒だ。
何かを言おうとしてるのに、奥歯に何かが挟まったみたいな、遠回しなそんな言い方。
「よく間に合ったね」、とか……そういう類の話なのだと思ったけれど。
次の一言を相葉くんがわたしにかける前に。
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二宮「さ─────ぁってと、じゃあーあとは若い者同士で♪」
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と。
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A「は？」
大野「そうですね、我々はこの辺で……(´･∀･`)」
松本「どうぞごゆっくりﾉﾉ｀∀´ﾙ」
二宮「ほら、アナタも行きますよ！」
相葉「わっ！押すなよ〜〜〜〜！」
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なんだなんだ、そのお見合いコント的なソレは！
あっけにとられている間に、４人はわちゃわちゃしながら楽屋を、あっという間に出ていってしまった。
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A「なに、あれ……」
櫻井「…………なんでしょーネ。それより、それ」
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ぼんやりと見送ったわたしにかけられた声に、わたしは慌てて声の方を向き直る。
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A「あ、失礼しました」
櫻井「ん」
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そうして。
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A「…………なんですか？」
櫻井「いやいやいや、この状況でやる事っていったらヒトツでしょ？」
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ニヤリと笑うと。
「どーせなら締めて貰おうと思って♪」と─────そう、彼は言った。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2013年11月29日 2時
