【69】殺意を覚えるのは、鍵を受け取ったあとで ページ19
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櫻井「あれ？ 駐車場あんの、知ってるんだよね？」
A「……はい」
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今度は何考えてんのかしら、と不審に思うわたしとは裏腹に、タヌキは楽しそうにニコリと笑った。
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櫻井「俺の記憶に間違いがなければ……アナタにマネージャー代わってから、あの駐車場って一回も使ってねぇと思うんだ」
A「……そう、ですね」
櫻井「ウチの駐車場って、月いくらするか知ってる？」
A「…………いえ」
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知らない。
そんな事知らないけれど、この立地条件なのだから─────「多分、ちょっと駅から離れた所のワンルームなら借りられる」くらいの金額なんだろう……くらいに、想像はつく。
タヌキは言いながら、サイドチェストの引きだしを開けてゴソゴソと何かを探った。
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櫻井「すっげー勿体ないと思わない？」
A「……言われてみれば」
櫻井「ついでに言うとさ」
A「……。」←まだ何かあるのかよ！とか思ってる
櫻井「誰かさんの寝相が凄まじくて、俺、寝不足なんだよねー」
A「………………。」←誰かさん本人
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「俺、今日はギリギリまで寝たいから」、と言ってタヌキはにっこりとアイドルスマイルを作ると。
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櫻井「はい」
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そう言って。
ポン、と渡されたのは─────鍵だった。
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A「……え？」
櫻井「１０時半に起こしてね、『A』♪」
A「これ、鍵しめた後にポストに入れてたらいいですか？」
櫻井「ちょ、待ってよ(笑) 今の俺の話聞いてた？」
A「…………。」
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タヌキは「ふは」、と口を開けて笑うと。
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櫻井「それで鍵あけて、俺の事起こしにきてね」
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─────と、そう言った。
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小津さんからは。
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A「はぁ？！ 何でわたしが……！！」
櫻井「あ〜〜〜〜〜もう、この話は終わり！ 俺寝るから。あ、鍵はしめてってね。ついでに何か食うもんも用意して貰えると助かるなー」
A「………！！！！」
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小津さんからは、彼らが凄し易くするのが仕事だと、聞いてはいた。
だけど。
だけど、彼らはプライベートを切り売りするのも仕事の内だから。
だから、わたし達マネージャーとは一線を画している。
そうして彼らは、だからそれを寂しく思う必要はない、と。
そう聞いていた。
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A(どこが……！！！！)
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厚かまし過ぎるアイドル様に、本気で殺意を覚えた。
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作者名：１２（とうふ）
| 作成日時：2013年11月29日 2時
