違う、そうじゃない。【影山飛雄】

違い16 ページ17

とうとうやってきた練習当日


大事な楽器を念入りにお手入れして楽器ケースを背中に背負い、教科書類をトートバッグに入れて学校まで行った


朝いつもの如く出迎えてくれた影山くんは楽器ケースの大きさに何も言うことなく登校した。いや、今日荷物多いなーくらいで気づいてないのかもしれないな


と思っていたが

｢今日荷物多そうスね。俺持ちますよ｣

｢えっ！？大丈夫だよ！ ｣

｢先輩片腕震えてますよ｣

｢……じゃあお願いします……｣


影山くんに荷物を持たせるためにトートバッグにした訳じゃないのに、と心の中で申し訳なさの涙を流していると


｢なんで今日のリュックこんなに縦長なんですか？流行り？ってやつですか｣


あんなに重かったトートバッグを軽々と持ってくれた影山くんは流石運動部なだけあって力持ちだ。そして果たしてそのレギュラーメンバーに教科書を持たせるマネージャーはいかがなものか……


｢流行りじゃないよ、この前言ってた楽器が入ってるんだよ｣

｢？なんで学校にまで持っていくんですか？｣

｢今日から週2回吹奏楽部に助っ人として参加するからね｣



えっ、という小さな声と共に隣を歩いていた彼の動きがそこだけ魔法をかけられたのかと思うくらいピタリと止まった。普段ポーカーフェイスな彼には珍しいびっくりした表情もおまけされている


｢……じゃあ週2回はバレー部に来ないってことですよね｣

｢そうなんだよ。ごめんね、迷惑かけて。みんなの負担にならないといいけど｣

｢……｣

荷物を持たせる上に週2も来ないなんて酷いマネージャーだと言われるだろうかとも思ったが、彼は口を噤んだだけだった


｢先輩、帰りは1人ですか？｣

｢うーん、多分そうなるね｣


そう言うと何かを考えた後、意を決したような表情で名前を呼ばれた


｢はい！｣


｢帰りも一緒に帰って良いですか？｣



予想だにしない言動に一瞬思考が停止してしまった

｢えと……え、帰り？｣

｢はい！その週2回の日だけで良いのでお願いします!!｣

｢いやいやいやいや、影山くんの負担になるよ!!いつ終わるかわかんないし！｣

｢遅くなる方が心配なので。先輩暗闇で迷子になりそうです｣
｢失礼しちゃうな!!影山くんも暗闇で迷子なってそうだよ｣

｢俺はなりません｣
｢私もならないよ！｣


なんだかんだ押しに負けて一緒に帰ることになりました



＊＊＊
放置し過ぎなのに気に入り登録してくれる人がまだいてくださって感謝感激ですありがとうございます!!

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←違い15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す