旅と青年と【ユーリ on ICE】 (ページ23)

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｢……え？｣

振り返ると後ろの席に
ボクと同じか少し年下の青年がいた。

｢俺、列車に乗って遠くに行くのははじめてなんだ。君は？｣

はにかむ笑顔に思わず微笑み返す。

｢………うーん、ボクは数えきれないくらいかな｣

｢ヘー！スゴいな！｣

心底驚いた顔をする青年は、目をきらきらさせてぐっと近づいてきた。

｢なんで？！旅してるのかい？一人旅？｣

｢そうだよ｣

｢ふ～ん、カッコいいな！………………｣

じっと見つめられて無意識に目をそらす。

｢どうかした？ボクの顔になんかついてる？｣

｢……いや、どこか見たことあるような綺麗な顔だなって思って｣

｢そう？｣

青年がうーん、と考え込んだのをみると
今は脳内で必死に顔検索をしてるのが伺える。

でも残念ながらそれは思い出させないよ。
……ヴィクトルにもボクにも迷惑だから。

彼の思考をさえぎる。

｢ボクはAだよ。
これからモスクワにいこうと思ってる｣

｢あ、ああ俺はステファン。行き先はえーと、多分Aより遠いところ。よろしく｣

互いに握手して抱きしめた。

久しぶりに触れた人の手、

ステファンの手があまりにもあたたかいことをボクは知ることができた。