旅と青年と【ユーリ on ICE】 (ページ18)

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最初に滑るのは中国の李光虹。

初参戦にしては堂々としてしているけど
残念ながら曲があわない。

でも

｢…………眠い……｣

あくびを一つ。
先ほどの薬の副作用が起こり始めた。

早く症状に効く代わりに強烈な眠気を引き起こすため、ボクはあまりこの薬が好きではない。

｢まだ見ていたいのに……｣

歪む液晶テレビに映るスケート選手。

ぼやける視界はボクを不安にさせて、天井と床の色が混ざる、交ざって、まざり＿＿＿＿

少しだけ、

すこしだけ

せめて勝生青年をヴィクトルがどうやって慰めたのかみたい………………

なんて想いも意識の底に沈んでいった。

｢う……｣

午前1時。

スッキリした目覚めはいい。

けど、椅子で眠ってしまったせいか身体が痛い、汗で顔にはりついた髪が鬱陶しい。

ああ、ボクはなんて脆いんだろ

雨風にあたっただけなのに熱を出すとか。

ヴィクトルなんて昔は冬にプールに行っても大丈夫だったのに。

そういえば、
スケートはどうなったのだろうか？

大丈夫だよ、きっと。

勇利だからこそ大丈夫だと思いたい。
あの子はヴィクトルに光をもたらした存在。

ボクなんかより勇利がヴィクトルのそばにいるべきなんだ。

ヴィクトルだけでも、
ずっと笑っていてほしくて。

あの日の事を後悔することなんてないよ。