＃ ページ47
◎よこやまさん
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カウントダウンライブの終演後、マネージャーに事情を聞いた俺は医務室にやってきた。
「明けましておめでとう…やな。」
そこにはベットに横たわる晴人の姿があった。
「ごめんな、来てくれとったんやな。」
すぎもっちゃんによると、京セラまではなんとか来れたが会場内に入るとあかんかったらしい。
手が震え出し、呼吸が浅くなるのを感じた晴人はそのまましゃがみ込んでしまい、席までたどり着くことができなかったそうだ。
すぎもっちゃんは俺たちが心配しないようにと、ライブが終わるまで晴人が倒れたことを内緒にしてくれていたのだ。
「ほんっま、世話のかかるやつやわ。」
そう呟いた俺は、小さく寝息を立てる晴人の髪を撫でた。
しばらくすると、晴人が目を開けた。
きょろきょろと辺りを見回したあと、
その瞳は俺を捉える。
「大丈夫か？」
『あっ…横山くん。ごめん。ライブ、終わっちゃったね。』
俺が声をかけると、晴人は眉を下げて答えた。
「ええよそんなん。ここに来てくれただけで嬉しいから。久しぶりに、会えたしな。」
『うん…。ごめんね。』
起きて早々、何度も謝罪の言葉を口にする晴人。
それを見ていると、なぜか胸がずきりと痛んだ。
「晴人、こういうときは“ありがとう”やで。俺別に、なーんにもお前に対して怒ってへんで？」
『うん。』
「ありがとうは？」
『…ありが、と。』
そう言った晴人は罰が悪そうにして、かけてあった毛布を頭の上まですっぽりと被ってしまった。
だけど毛布の長さが足りなくて次は足が出てしまっている。ほんのイタズラ心で足を小突くと、毛布の中から『もう！』と拗ねた様子の声が聞こえてきた。
どうやら、調子は戻ってきてるみたいや。
『…横山くんは、大丈夫？今年の年末も忙しかったやろ？』
気づけば晴人は毛布から顔を出して、その透き通った瞳を俺のほうへ向けていた。
自分が一番しんどいはずやのにこうやって他人を気遣うところに、晴人の人柄が垣間見える。
「まあー大丈夫やで。それを言うなら去年の年末、やけどな。」
『あっ、ほんまや！もう明けてるんか。』
「おん。晴人、あけましておめでとう。」
『ふふっ。横山くん、あけましておめでとうございます。』
そう言って微笑む晴人を見て、
俺はふと去年の今頃のことを思い出した。
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donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜！ (2021年1月30日 17時) (
レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です！とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました！無理のないペースで、更新楽しみにしていますね！ (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さざ波 | 作成日時：2021年1月23日 1時
