daily.7 ページ27
◎よこやまさん
(daily.2 つづきのお話)
しばらくすると、丸と大倉が晴人を連れて楽屋に戻ってきた。
うつむきがちな晴人が俺を見つけて駆け寄ってくる。
『横山くん。ごめん。コーヒー、冷めちゃった。』
「そんなんかまへんよ。冷たくてもよかったら、一緒に飲も。」
『うん、ありがと。』
そう言って俺の隣に座った晴人の鼻は少しだけ赤くなっていた。外が寒かったのか、それとも泣いたのか。
気になることはあるけど、深く聞く必要もない。
『ちょっと最近寝られへんくて、安定剤飲んでるねん。それで多分、ちょっと調子悪い。』
今の晴人は、こうやって自分の口でちゃんと伝えてくれる。
『今週末に診察の予約入れたし、たぶん大丈夫。』
心配しなくても、晴人は晴人なりにきちんと自分と向き合えるようになっているのだ。
「晴人、今年で30歳やもんな。」
『なんなん、急にどうしたん？』
「いや…なんか、大人になったなと思って。」
『ふふふ。横山くんはもう、おじさんやけどな。』
「余計なお世話や。」
俺はもう、昔ほど晴人に構わなくなった。
それは別に、晴人に興味がなくなったからとかそんなんではなくて、単純に晴人が大人になったから。
『さっきはありがとう。』
「ん？なにが？」
『…俺がしんどくなってるのに気づいて、休憩にしてくれた。』
「そんなん、俺も疲れてたし。いちいち気にすんなよ。」
何でも言い合えるようになるまで、こんなにも時間がかかるとは思っていなかった。
でも俺らは、若かったあの頃に比べて着実に前に進んでいる。
『さすがタートルネック横山。』
「やめろやそのあだ名。」
たぶん、晴人が再び倒れることは、
きっと無いと思う。
ただそう願っている。
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donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜！ (2021年1月30日 17時) (
レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です！とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました！無理のないペースで、更新楽しみにしていますね！ (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さざ波 | 作成日時：2021年1月23日 1時
