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Side まふまふ
珍しく酷い喧嘩をして、数日後。
連絡一つ取ってなかった君から、家に来て欲しい、という旨のメールがきた。
そろそろ怒りが冷めて、というか、とっくに冷めていて、謝るのならこちらにも好都合だと思った。
「お邪魔しますー……」
家に入ったら、すぐ謝ろうと思っていた。
けれど、君は、玄関で仁王立ちしていた。
何か言いたそうだが、言いにくいようで、かなり口ごもっている。
酷く怯えた顔で、君は言った。
初めは聞き間違いか言葉のあやだと思ったけれど、確かに言った。
“解散しよう”って。
あれ?謝るんじゃないんだ?
拍子抜けしたけど、君の言った言葉がとんでもないことであったと気づく。
嫌だって言おうと思ったけれど、有無を言わせないような、初めて見る君の目に、言葉がでなかった。
方向性の違いだろうか。それとも、この活動に嫌気がさしたのだろうか。
その時はまだ、理由はあとから聞けばいい、なんて甘ったれたことを考えていた。
理由が聞けなかったのは、一生の後悔であるはずだ。
『当分、離れて生きてこう』
大袈裟だな、なんて軽く聞き流してた。
今まで幼馴染みとしてやってきて、このたった3年の歌い手活動で、そんな亀裂が入るなんてありえないと思ったから。
なのに、君の悲しげな目が、僕を不安にさせる。
ねぇ、冗談だよね、僕たちは、そんなに簡単に離れられるような仲じゃないでしょ。
何がそんなに悲しいの。なんでそんな目をしながら、解散しようなんて残酷な言葉を吐けるの。
『まふ、ごめんね、また俺が強くなったら、会えたら…………いいね』
「な、んで、そんなの…!」
『18時』
「………………は?」
『……………こう、青い鳥に呟くんだよ』
紙切れを渡されて。
そこには、“幼馴染みと、これにてさよならします”の文字。
君…………律にとって、僕はそのぐらいの人間だった?
一瞬で、この関係でいることに冷めてしまった。
「分かった。…………今までありがとう、ね」
君の家の扉が閉まる音なんて耳に入れずに、そそくさと帰った。
もう少し、耳に焼き付けておけば良かったかも、なんて。
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失礼します、ぐたです。
5〜6の過去話は、一応回想ではなく、過去に起きた話に巻き戻った形で書いています。
いつ読んでも分かりにくいと思うのですが、時間のある時手直ししますのでどうかお許しください。
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作者名:ぐた | 作成日時:2018年9月23日 12時