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Side 友樹
『ぅえへへへぇ〜』
「んあ〜、うっぜぇ」
居酒屋も閉店時間になった。にも関わらず、ぐったり机に突っ伏し酔い潰れている律に、声を掛けた様がこれである。
「おら、お前いっつもこんなんじゃねぇだろ」
『んー、それをわかってんなら、おれがいじょうなんだっておもってほしい』
「………………」
何なんだこいつ。いつにも増してウザいな。
とか思いつつ、こいつも大概可哀想な奴だよな、と感じる。
律のことは、ほとんど知っている。まぁ、こいつが、酒の酔いに任せてべらべら喋るからなんだけど。
真冬も、罪な奴だ。完璧な幼馴染みを差し置いて、色んな奴と仲良くしているのだ。
決して、悪いこととは言わないけど。
そんで、律は自分1人で抱え込む奴だから、余計に2人は噛み合わない。
今は、酒っていう愚痴を吐き出せるアイテムがあるからいいけど、前まではこいつと酒なんて無縁だった。吐き出す術がなかったのだ。
でも、だけど、今は違う。荒療治みたいな感じだけど、吐き出すことができる。
こいつらは、まず、お互いの本心と向き合ってほしい。
ずっと一緒にいた幼馴染みが、こんなに些細なことで仲違いしていいものか?
高校がおんなじだった訳で、こいつらの仲は重々承知している。こんなに簡単に終わってしまうような、そんな小さな関係には到底見えない、意思疎通してるまさに幼馴染みの鑑みたいな奴らなのだ。
やっぱり両者の友達として、2人が仲直りするきっかけを作ってやりたい。
そのためには、まず再会しないといけない。
が、多分、きっとこれが最難関だ。
俺も可哀想な苦労人だよなぁ〜……。
いつの間にかぐっすり眠ってしまった律を横目に、控えめに溜息をついた。
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作者名:ぐた | 作成日時:2018年9月23日 12時