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カリムが席を立った瞬間、ジャミルが止めに入った。

「! カリム、待て。俺が用意してくるから、お前は座ってろ」

「いいって。アイスの用意なんか、冷蔵庫から出してくるだけだろ?」

ケロリとした表情で、首をかしげるカリムにジャミルは困ったように腕を組んだ。

「馬鹿。主人に給仕させる従者がどこにいるんだ。
お前はもう少しアジーム家の後継としての、自覚を持ってくれ。
お前にそんなことをさせたと知れたら、俺が父さんたちに怒られる」

「ジャミルは真面目だなあ。いいじゃないか。今は同じ学園の生徒同士だろ?」

一歩も譲らないカリムに、ジャミルはため息をついた。

「……はぁ。それじゃあ、俺がさらに盛りつけるから、運ぶのを手伝ってくれないか?」

「お安い御用だぜ!」

ふと、隣にいるグリムがゴソゴソと物音がした。

何やら漁っているようだ。

それにカリムは気づいたようで、首をかしげながらグリムに問いかけた。

「ん?どうかしたか?」

「い、いや?なんでもねぇんだゾ!」

グリムはそう言うと、疑いも知らないような笑顔で『そうか!』と、言った。

太陽のような笑顔が眩しい。

「よし!今用意してくるから待ってろよ!」

厨房に向かうジャミルの後を追って、カリムは駆けて行った。

「……オレ様、いよいよ混乱してきたんだゾ。
今のカリムは人の話を聞かないけど、悪いヤツじゃねぇ気がするんだゾ」

厨房から戻ってきたカリムは、アイスを持っていなかった。

それに笑顔ではなく無表情で、私たちを見下ろした。

口を開いたと思ったら先程の声とは、程遠い冷たい声色だった。

「おい、お前たち……。
いつまでメシを食っているつもりだ!王様にでもなったつもりか!?」

「「え、えぇ〜〜〜〜!?」」

声を荒らげるカリムに、寮生たちはびっくりする。

「今すぐ食器を片付けろ!すぐに午後の特訓を始める!」

「「は、はい……っ!」」

さっさと食器を片付けていく寮生たち。

グリムはがくがくと身体を震わせた。

「ヒィ……また怖い方のカリムになっちまったんだゾ!」

「ユウたちも逃さないぞ。今日は夜までみっちり防御魔法の特訓だ。さあ、庭に出ろ!」

「情緒不安定ってレベルじゃない!」

無茶苦茶なカリムにユウくんまでも、少し震えた声色だった。

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作者名:金平糖 | 作者ホームページ:(ヾノ・ω・`)ナイナイ  
作成日時:2022年4月10日 15時

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